連載・特集 連載・特集 プレミアムボックス

記事特集

  • 印刷

 神戸市がポートアイランド沖に計画する神戸空港の建設工事が十三日朝、始まった。同空港は、関西新空港の有力候補の一つになりながら同市が反対、再び自治体が設置・管理する第三種空港として浮上するという複雑な経緯をたどった。また、阪神・淡路大震災を機に反対運動が大きくなり、昨年秋には建設の是非を問う住民投票条例案の直接請求にまで発展。一方、この間の市長選や市議選などでは、推進派と反対派の構図が大きく変わることはなく、着工への手続きは一つずつ進められてきた。二〇〇五年度の開港に向け工事は始まったが、航空需要を生み出すための企業誘致や集客力のアップなど、残された課題は山積している。

 この日、建設予定地では、埋め立て区域外への汚泥の拡散を防ぐ汚濁防止膜の設置作業が始まった。午前八時、ブイで囲まれた航泊禁止区域の南東部約二百メートルで、クレーン台船から海面に降ろした膜を、引き船で引っ張りながら設置していった。作業は十月末まで続き、建設予定地の外側約九キロを、海面下六メートルまでカーテン状に張り巡らす。

 着工を受け、市役所では笹山幸俊市長が記者会見。長い経緯の末に迎えたこの日を「神戸の将来のあり方を決める大事な日」と位置づける一方で、「これからも市民の理解を得る努力が必要」と話した。一方、建設に反対する市民グループや市議らは、「神戸空港建設反対」の横断幕を掲げたヨットで建設現場近くまで行き、「市民の声に耳を傾けぬ空港計画に反対。すぐに着工をやめろ」と海上から抗議した。

 空港島は二百七十二ヘクタール。十一月からは、海砂と石材などを使った護岸造成と地盤改良工事に入る。六千六百万立方メートルの土砂を使う埋め立ては、二〇〇一年度から四工区に分けて実施。その後、工区ごとに滑走路や旅客ターミナルなど関連施設を建設する。

 総事業費三千百四十億円のうち、市は約二千百億円を起債し、主に空港島の土地売却費で償還する計画。景気低迷の中、売却が予定通り進むかは不透明だが、市は、税金を使った市民負担は発生させないと表明している。

 また、総事業費には空港へのポートライナー延伸、ターミナルビルの設置費用などが含まれておらず、事業主体や採算性などの情報開示が求められている。

 建設に反対する市民グループは昨年秋、三十万人を超える署名で、建設の是非を問う住民投票条例案を直接請求したが議会は否決。今年七月から八月にかけて空港の賛否を問う自主管理投票が行われたほか、今月九日には、空港建設に反対する議員が条例案をあらためて提案したが、これも反対多数で否決された。こうした経緯を受け、市民の中に市長リコールの運動を準備する動きもある。

メモ

<神戸空港>

 神戸市が設置・管理する第三種空港。ポートアイランド2期沖約一キロの神戸港内に二百七十二ヘクタールを埋め立て、ジェット機が発着できる二千五百メートルの滑走路一本を整備する。二〇〇五年度の開港時に年間三百四十万人、五年後の二〇一〇年度に同四百二十万人の旅客数を予測している。ポートライナーの延伸で神戸・三宮から十六分。

1999/9/13
 

天気(9月7日)

  • 33℃
  • ---℃
  • 20%

  • 37℃
  • ---℃
  • 40%

  • 35℃
  • ---℃
  • 20%

  • 36℃
  • ---℃
  • 30%

お知らせ