にぎやかな声が、あちこちから聞こえてきた。地震から三週間後。鈴蘭台高校(神戸市北区)のグラウンドで、兵庫高校(同市長田区)の生徒たちが待ちわびた友人との再会を喜んでいた。
「無事でよかったね」。言葉にならない思いが、取材する側にもじんじんと伝わってきた。
兵庫高には教室などに最大二千五百人が避難し、休校が続いていた。その日やっと、鈴蘭台高など北区の二校に間借りする形で授業が再開した。
生徒や教師に犠牲者こそなかったが、自宅が全半壊し、遠方の避難先から登校する生徒もいた。
写真に映る、友人と抱き合って笑顔を見せていた村本(旧姓玉井)亜希子さん(26)もその一人。自宅は全壊、一年後の再建まで、避難所や親類宅などを移り住んだ。
当時、「周りの人たちに支えられている」と思えることが、大きな力になったという。そして将来の道が見えてきた。「人の心にかかわれる仕事がしたい」
今、大阪の児童福祉施設の指導員として、子どもたちに寄り添っている。(写真部・岡本好太郎)
2004/1/20