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(4)IT化実験 主導権握り他港リード
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 情報技術(IT)の活用で、荷主が輸入手続きを始めて貨物を受け取るまでが十時間早まる-。

 二〇〇三年五月、神戸市役所。港湾関連の団体や企業を集めた「神戸港IT調査研究会」で報告された実験結果に、出席者が感嘆の声を上げた。

 「港湾物流情報プラットフォーム実証実験」。船会社やターミナル会社などで異なる輸入手続きを、パソコン上でデータを処理し書類のやり取りをなくす。国土交通省の委託を受け同年一月、被災地の行政や企業が参画する新産業創造研究機構(神戸市)が手掛けた。

 コストや手間も、削減できる。「すぐに実用化を」。研究会は盛り上がった。しかし実際に開発が緒に就いたのは、一年以上も後のことだった。

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 神戸港のIT導入は、国内では先んじていた。アジアの港湾が一九八〇年代後半から国策で情報化を進めており、その影響を意識したからだ。震災前から、関係者の間ではコンピューター利用が検討されていた。

 一九九九年には全国初の、インターネットで入出港申請を行う独自の「EDI(電子データ交換)システム」を導入した。〇一年にはIT調査研究会が発足し、港湾物流の情報を統合するプラットホーム構想を提案。〇三年の実験につながった。

 だがこの構想には、東京港が別の仕組みを提案。全国の足並みはそろわなかった。「主導権争い」との指摘もあった。

 昨年四月、ようやく開発はスタート。国交省は、コンテナ搬出入の手続きを全国で共通化するシステム作りに着手した。現在の参加は通関業者や運送会社など陸上側に限られるが、同省は「段階的構築の一環」として、将来の船会社参加に含みを残した。

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 昨年末には、IC(集積回路)内蔵の電子タグ(荷札)をコンテナに付け国際的に貨物を管理する、これも全国初の実験が始まった。まとめ役を務める新産業創造研究機構の水上裕之研究四部長は「安全性と効率化をともに追究できる」と期待する。

 大手倉庫会社の担当者は「神戸だから、実験がスムーズにできる。関係者で議論する場もあり、大きな宝」と話す。大阪港と連携する「スーパー中枢港湾」の旗印の一つ・IT化では、神戸が主導権を握る構えだ。

 世界への玄関。開港時からの神戸港の評価だ。「常に新しいものを取り入れて成長した」と向井芳樹・市みなと総局主幹は自負する。

 ITなら神戸港。新たな評価も、定まりつつある。

2005/2/8
 

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