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遺族アンケート

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悲しみ共有「前向きに」

 「わが子がいたから生きてこられた」「色々(いろいろ)なこと、色々な人に支えられている」―。神戸新聞社が行った阪神・淡路大震災の遺族アンケートからは、大切な人を失った深い悲しみとともに歩んだ15年が浮かび上がる。「この15年、一番支えてくれたものは何ですか」との質問に、6割が「家族」と答えた一方で、友人や仕事、ボランティアの存在を挙げる人もいた。
 「一番支えてくれたもの」を問うと、59・4%が「家族」と答えた。自由記述欄にも家族への感謝の言葉が目立った。
 51歳の夫を亡くした50代の女性は<3人の子供がいて、一番下はまだ7歳でしたから、子供達を頑張って育てなければという思いが自分の心の支えとなり、前向きになれました>と書き添えた。
 夫を亡くした70代の女性は、最近の様子をつづった。<仏だんに「もうむかえにきてもいいよ」と話すと、子供達が「いまきたらおいかえすからね」と、笑って話せる時がきて、みんなで顔をみあわせている>。
 兵庫県こころのケアセンターの加藤寛副センター長は「死別体験は家族や同じ体験をした人との方が共有しやすい」とみる。
 回答を一つに絞ったため、数は減ったが、友人や親類、仕事の存在も大きかったようだ。
 夫と父を亡くした40代女性は<子供は私を生きていくように導き、親類は後からささえ、励ましてくれた。友人は同じ痛みを感じ、一緒に泣いて慰めてくれた。これ以上絞れない>と○印を三つつけた。長女を亡くし、震災の語り部として命の尊さを伝える70代の男性ら、ボランティアや仕事に打ち込むことで前へ進もうとする遺族もいた。
 一方で「震災体験を話す相手」を問うと、「友人」が「家族」を上回った。祖母を亡くした30代の女性は<家族は同じ悲しみを共有しているので、話せることと話せないこととがある。その分、(震災経験者の)友人は話せるかなあ>。また、母を亡くした10代の女性は、同じ境遇のボランティアとの出会いに触れ<同じ境遇にあり、友達や家族にも話せないことを話せた>とした。(小西博美)

2010/1/8

 

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