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(3)思い出 野球少年の夢 瞳に残像
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球音・歓声、いまいずこ=西宮市高松町(撮影・山崎 竜)
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球音・歓声、いまいずこ=西宮市高松町(撮影・山崎 竜)

球音・歓声、いまいずこ=西宮市高松町(撮影・山崎 竜)

球音・歓声、いまいずこ=西宮市高松町(撮影・山崎 竜)

 その昔、ここは野球場だった。

 阪急西宮北口駅前の大型商業施設「阪急西宮ガーデンズ」。売り場面積10万7千平方メートルは西日本最大。開業1年で1760万人が訪れた。

 4階の屋上庭園「スカイガーデン」の片隅に、本塁をかたどった陶板が埋め込まれている。2002年に閉鎖された旧西宮球場のそれと同じ場所に。夢と思い出のかけら。でも、気付く人はほとんどいない。

 鉄道沿線に球場や遊園地を造り、住民を乗客として誘致する-。阪急電鉄の創始者・小林一三が築いたビジネスモデルは1990年代以降、変容を余儀なくされた。バブル崩壊、乗客減…。沿線にあった多くのレジャー施設が商業施設や住宅に姿を変えた。

 ガーデンズの5階には、球場の模型や、本拠地とした阪急ブレーブスの記念品などを置くギャラリーがある。時を忘れて見入るのは、齢(よわい)を重ねた、かつての野球少年たち。

 再び、屋上庭園へ。六甲の山並み、震災復興再開発ビルなどが望める。階段状になった野外ステージは、球場のスタンドをほうふつとさせる。

 「パパーッ」。子どもたちの笑いや歓声が響く。走り回る少年が陶板を無造作に踏んだ。父親の目に、本塁を駆け抜けた世界の盗塁王の残像が、横切る。(長沼隆之)

2009/12/9
 

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