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(6)空港 輝きに影差す復興の翼
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心浮き立つ眺めも、現実は厳しい=神戸空港上空から(撮影・山崎 竜)
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心浮き立つ眺めも、現実は厳しい=神戸空港上空から(撮影・山崎 竜)

心浮き立つ眺めも、現実は厳しい=神戸空港上空から(撮影・山崎 竜)

心浮き立つ眺めも、現実は厳しい=神戸空港上空から(撮影・山崎 竜)

 街をどこから眺めるか。観賞法はいろいろあっていい。

 ヘリコプターは、ふわりと神戸空港を離陸した。「沖合に回ってほしい」。わたしたちの求めに、操縦士は機首をぐいっと旋回させた。

 空港島越しに、市街地、そして六甲の山並みを望む。都心から約10キロ。遠すぎてはいけない。近すぎてもだめ。この程よい距離でなければ。

 日が落ちた神戸の街は“宝石箱”。ビルや住宅の灯、ネオンサイン、車のライトなどを映し、空がかすかに白んで見える。震災復興のために人々が流した汗と涙がつくったまちの輝きは、胸を打つ。

 2006年2月に開港した神戸空港は、その象徴的なプロジェクトだった。しかし、着工前から向かい風にさらされてきた。「関西に3空港は多すぎる」「被災者の生活復興が先」…。いずれも当てはまるのだろう。そうした声は重々承知での開港だった。だが、現実は厳しい。搭乗者数の需要予測は一度も達成できず、路線の撤退も続く。

 一方が開発をすれば、他方も負けじとまねをする。あちらが空港を持てば、こちらも。「共存」といいながら、見え隠れするライバル心。

 上空から大阪湾の光の帯を眺めてみよう。対岸には関西空港。「関西は一つ」のはずが「関西は一つ一つ」に見えはしないか。(長沼隆之)

2009/12/16
 

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