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「助かった」山根笥都枝(しとえ)さん(93)神戸市兵庫区
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「助かった」山根笥都枝(しとえ)さん(93)神戸市兵庫区

「助かった」山根笥都枝(しとえ)さん(93)神戸市兵庫区

「助かった」山根笥都枝(しとえ)さん(93)神戸市兵庫区

 激しい揺れで目が覚め、恐る恐る布団から顔を出すと、枕元のたんすが倒れて、たまたま開いた三面鏡に引っ掛かっていました。このたんす、本当に大きくて重たい。それまで動いたことなんてなかったのに。もしこれが体に倒れていたら、間違いなく命を落としていたでしょうね。

 大正生まれで、阪神大水害(1938年)や神戸大空襲(45年)も経験しました。震災のときも、火事で焼かれた町並みを目にすると、戦争のことが重なりました。

 日本各地で空襲が始まり、いよいよ神戸も-という前日、幼い子ども3人を連れて箕谷(神戸市北区)に逃げました。自宅は焼かれ、まちは焦土。知人の納屋で暮らしたのですが、近所の人の多くが亡くなりました。まさに九死に一生でした。

 戦後、神戸は本当に平和で、大きな災害もなかったのに…。後になり、たんすの下敷きになって亡くなられた方も多いと聞きました。開いた三面鏡にたんすが引っ掛かるなんて、空襲を逃れたときよりも「奇跡」を感じました。

 15年たった今でも、あの部屋の情景は頭から消えません。災害はいつ起こるか分からない。普段から備えをして、命を大切にして-。助かった私の、心からの願いです。(聞き手・安福直剛)

2010/1/5
 

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