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当時の中学生が見た風景 神戸市立丸山中教諭 小菅康生さん(44)
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当時の中学生が見た風景 神戸市立丸山中教諭 小菅康生さん(44)

当時の中学生が見た風景 神戸市立丸山中教諭 小菅康生さん(44)

当時の中学生が見た風景 神戸市立丸山中教諭 小菅康生さん(44)

 当時勤めていた住吉中学校(神戸市東灘区)周辺は被害が大きく、何とか学校にたどり着いた後、生徒たちの安否確認へ地域を走り回りました。学校は避難所となり、川から水をくんだり、支援物資を運んだり。1カ月以上は泊まり込んだでしょうか。

 当たり前の生活のありがたさが身に染みる中で、授業が徐々に再開されていきました。そんなとき「美術教師として何かできないか」と考えたのです。

 震災から1カ月。生徒たちに描かせることに葛藤(かっとう)はありました。ただ、絵を通して心を解きほぐしてやりたかった。将来に残そうというのではなく「今の素直な気持ちを描いてみて」と語りかけました。思ったよりみんな冷静で、静かな教室には色鉛筆の動く音が響きました。

 実はあのとき、教師としての原点に戻った気持ちになったのです。生徒一人一人がとても深く重たい体験をし、それを絵や文字にしていく中で、わたしもみんなの心に寄り添いました。「多様な子どもに多様なアプローチを」という教育の原点。この経験は、今でも大きな心の支えです。

 早いもので、当時の生徒たちも、もう立派な大人。あの子たちと話す機会があると、こんな言葉をかけます。「君たちの絵が、震災を語り継いでるよ」って。

(聞き手・安福 直剛、絵画の撮影・岡田 育磨)=おわり=

    ◆

 紹介した7点を含め、公募作品400点余りで記憶をつなぐ「震災の絵」展(神戸新聞社、NHK神戸放送局など主催)は2010年1月17~30日、兵庫県立美術館ギャラリー棟(神戸市中央区脇浜海岸通1)で開かれる。月曜休館。無料。

2010/1/12
 

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