連載・特集 連載・特集 プレミアムボックス

  • 印刷
「震災の恐怖は一瞬にあらず」脇坂稔さん(73)西宮市
拡大

「震災の恐怖は一瞬にあらず」脇坂稔さん(73)西宮市

「震災の恐怖は一瞬にあらず」脇坂稔さん(73)西宮市

「震災の恐怖は一瞬にあらず」脇坂稔さん(73)西宮市

 阪急夙川駅の線路沿いに住んでいます。激しい揺れとともに襲ってきたのはごう音。高架が橋脚ごと崩れ、曲がったレールと敷石が落ちてきたのです。これほど頑丈なものが壊れるなんて、信じられませんでした。周りの木造家屋のほとんどは倒れ、町内で27人が亡くなりました。

 住宅でも線路でも、わたしたちは普段縦横の直線の中に暮らしています。それが一瞬で、斜線と曲線の景色に変わった。駅の復旧作業は半年ほど続きましたが、工事のすさまじい振動や騒音、粉じんに、震災時の恐怖を引きずる思いでした。

 勤務先は大阪市内。帽子にリュックサック、スニーカーで通い、会社で背広に着替えましたが、事情を知らない人にはなかなかわかってもらえなくて。少しの距離なのに、街も行き交う人もまったくの別世界。その差にがくぜんとしました。

 この場所で戦争を体験し、昭和30年ごろには、トラックと衝突した電車が脱線する事故を見ました。そして震災。街が壊れるさまを身をもって知っているからこそ、今の平穏な日常がいつまでも続くようにと願います。

 それでも、ふとした音や振動に「あのとき」がよみがえる。小さな後遺症として、ずっと続くのでしょうね。(聞き手・平井麻衣子)

    ◆

 「震災の絵」展は2010年1月17~30日、神戸市中央区の兵庫県立美術館で開く。

2010/1/9
 

天気(9月6日)

  • 33℃
  • ---℃
  • 10%

  • 35℃
  • ---℃
  • 10%

  • 35℃
  • ---℃
  • 0%

  • 36℃
  • ---℃
  • 10%

お知らせ