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兵庫県は10日、阪神・淡路大震災が直接的な原因と認められる精神・知的障害者が21人いたと明らかにした。すでに判明している身体障害者(328人)と合わせ、震災で後遺症が出たいわゆる「震災障害者」は計349人となった。県の復興フォローアップ委員会(座長・室崎益輝関西学院大教授)で報告した。
調査は兵庫県と神戸市が合同で実施した。震災以後に障害者手帳などを交付した精神・知的障害者を対象に申請書や診断書などを調べた結果、障害の理由に「震災」と記載されていたのは153人。精神科医と診断書を分析したところ、震災が直接的な原因とされたのは21人だった。内訳は精神障害18人、知的障害4人(1人重複)で残りの132人についても、震災が何らかの影響をもたらしたとみられる。
県と神戸市は昨年、震災が原因の身体障害者数について、書類で調査した結果、328人(死亡者含む)いたと発表。だが、震災時の混乱で書類に記載されていない例も多くあるとみられる。
精神・知的障害者が21人にとどまったことについて、震災障害者を支援しているNPO法人「よろず相談室」(神戸市東灘区)の牧秀一理事長は「身体障害者と同様、実態とかけ離れた少ない数字だと感じる。調査をこれで終わりにせず、広く呼びかけるなど掘り起こしに努めてほしい」と指摘。室崎座長は「震災のショックが精神障害をもたらすということが裏付けられた。東日本大震災でも被災者の心のケアなどに生かすべき」と話している。(岸本達也)
2011/5/11