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疾走20年 いつも胸に 大震災とスポーツ人

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兵庫少年こだま会の高田幸博監督。子どもたちとの対話に稽古時間の大半を割く=兵庫署(撮影・中西幸大) 1階部分が倒壊した兵庫署の本庁舎=1995年1月24日、神戸市兵庫区下沢通
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兵庫少年こだま会の高田幸博監督。子どもたちとの対話に稽古時間の大半を割く=兵庫署(撮影・中西幸大)

1階部分が倒壊した兵庫署の本庁舎=1995年1月24日、神戸市兵庫区下沢通

  • 兵庫少年こだま会の高田幸博監督。子どもたちとの対話に稽古時間の大半を割く=兵庫署(撮影・中西幸大)
  • 1階部分が倒壊した兵庫署の本庁舎=1995年1月24日、神戸市兵庫区下沢通

兵庫少年こだま会の高田幸博監督。子どもたちとの対話に稽古時間の大半を割く=兵庫署(撮影・中西幸大) 1階部分が倒壊した兵庫署の本庁舎=1995年1月24日、神戸市兵庫区下沢通

兵庫少年こだま会の高田幸博監督。子どもたちとの対話に稽古時間の大半を割く=兵庫署(撮影・中西幸大)

1階部分が倒壊した兵庫署の本庁舎=1995年1月24日、神戸市兵庫区下沢通

  • 兵庫少年こだま会の高田幸博監督。子どもたちとの対話に稽古時間の大半を割く=兵庫署(撮影・中西幸大)
  • 1階部分が倒壊した兵庫署の本庁舎=1995年1月24日、神戸市兵庫区下沢通

【柔道・兵庫少年こだま会監督 高田幸博さん 県警兵庫署員 仕事の傍ら、教え子捜して避難所巡り】

 午後6時。兵庫県警兵庫署内の柔道場に続々と子どもたちが集まる。兵庫少年こだま会は小学生を中心に87人の大所帯。女子日本代表の暴力指導問題などで、柔道離れが進んでいるといわれるのがうそのような活気だ。

 学年や経験に応じて別々のメニューをこなす子どもたち。四方八方に目を配り、ひっきりなしに指示や助言を飛ばしているのが監督の高田幸博(51)だ。

 元気のない男児に気づく。最後まで技をかけない約束の稽古で、上級生が勢いあまって投げてしまったのだという。高田は上級生からも事情を聴いた上で謝らせた。一件落着と思ったら、今度は別の男児が女児にちょっかいを出してひともんちゃく。高田は必ず、両者の話に耳を傾ける。子どもたちは見違えるほど明るい顔で稽古に戻っていく。

 見たままで叱らず、いきさつを掘り下げて聴く。いじめの自覚のない子には根気強く言って聞かせる。時には家庭訪問もする。あの地震があるまでは指導はまるで違った。全体を見て稽古を進め、一人一人の微妙な変化に気づくことはなかった。きつい稽古を嫌がるのは怠慢だと決めつけ、手を上げることさえあった。今、思えば強制や恐怖心で動かしていた。

     ◇

 1995年1月17日。兵庫署は本庁舎の1階が押しつぶされ、1人の署員が亡くなった。道場は遺体の安置所となり、近隣に住むこだま会の子どもらも被災した。

 兵庫署員だった高田は、生き埋めになった人の救出などで当初は眠る間もないほどだった。教え子たちの自宅に電話をかけても多くはつながらない。夜勤明けに住所録を手に訪ねて回った。ぺしゃんこになっていたり、焼け跡になっていたり。涙がこみ上げた。

 約50人のうち半数は親類宅などに身を寄せ、4分の1は近くの避難所にいた。残り4分の1の所在がつかめず、方々の避難所を訪ね回った。無事を願って捜し回った10日間。一人一人のかけがえのなさに気づかされた。

 以来、柔道の上達は二の次になった。最も重視するのは人と人とのつながり。顔と顔を突き合わせ、言葉で気持ちを動かしたい。

     ◇

 突然のように辞めてしまう子はいなくなった。一昨年のこと。かつての教え子、能津仁(23)の母から連絡があった。「息子が県警に採用が決まりました。あの時、先生が迎えにきてくれたおかげです」。小学3年のころ休みがちになった能津を何度も迎えにいき、手をつないで道場に通った。能津はやがて名門国士舘大などで活躍した。

 クラブとしての結果もついてきた。98年に道場が再建されるまで公園や近隣の高校で練習する日々が続いたが、震災翌年の県大会で団体初優勝した。以来、全国大会出場6度という県内屈指の強豪になった。昨年のグランドスラム東京大会を制した阿部一二三(神港学園高)ら、日本を代表する選手も輩出し、全日本柔道連盟から表彰も受けた。

 活動の幅が広がり、仕事との両立が悩ましくなってきた。道場が減っていく中、存続させる使命感もある。迷いはなかった。3年前に県警を退職した。

 昨年12月27日。6年生の送別会には、阿部らOBも駆けつけて約150人が道場にあふれた。いくつ成績を重ねても、そういう関係をつくれていることの方が高田にはうれしい。=敬称略=

(永見将人)

 

 ▽たかた・ゆきひろ 神戸市垂水区出身。星陵高で柔道を始めた。関大を経て兵庫県警に入る。27歳で兵庫少年こだま会の監督に就任。2013年世界選手権女子52キロ級銅メダルの橋本優貴(コマツ、兵庫商高出)らを輩出した。同市兵庫区在住。

2015/1/20

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