旦旦的二十年
2010年9月9日、悲劇が起きた。雄のパンダ・コウコウが死んでしまったのだ。人工授精のための麻酔から覚める途中で心肺停止した、と当時の記事にはある。来日した中国の調査団によると、死因は胃の内容物による窒息死で「不可避の事故」だった、と発表された。
レンタル期限を5年延長し、2015年7月15日までの借り受けに合意したばかりだったのに。
人工呼吸を試みながらも最後を「みとる」ことになった飼育担当者の苦悩は、いかばかりだったろうか。そしてファンも同じように悲しんだ。翌日の紙面では3歳の男の子が「なんで、なんで!」と母親に繰り返す様子が伝えられていた。
この日から約10年間、タンタンは神戸で過ごすただ1頭のジャイアントパンダとなった。
2020/7/24