阪神・淡路大震災で母親と弟を亡くした経験をメンバーに語る長谷川元気さん=神戸市中央区
阪神・淡路大震災で母親と弟を亡くした経験をメンバーに語る長谷川元気さん=神戸市中央区

 神戸を拠点に阪神・淡路大震災の記憶を伝え続ける2団体が、経験や教訓を継承する取り組みを活発化させている。語り部グループでは、メンバーが互いの被災経験に改めて耳を傾け、震災手記の公募を続けてきた団体は約110人の思いを収めた書籍を刊行した。いずれも当時、小学生だった世代が活動の中心を担い、来年1月で発生32年となる震災を見つめ直している。(田中宏樹)

 「父は目に涙を浮かべて『あかんかった』と話しました。私はその言葉で母と弟が亡くなったと察し、泣き続けました」。9月中旬、神戸市内であった「語り部KOBE1995」の例会。代表の長谷川元気さん(40)=神戸市垂水区=が、震災時の経験をメンバー約10人に語り始めた。

 当時は小学2年生。同市東灘区の自宅は全壊し、5人家族のうち母親と当時1歳だった末の弟が亡くなった。「小学生の間は5人で仲良く暮らす夢をよく見ました。目が覚め、現実に引き戻されても起き上がれないことが続きました」。長谷川さんの言葉に涙ぐむメンバーの姿もあった。