生野高校生の思いから完成した「いくイエ」。図書の貸し出しにも応じる=朝来市生野町口銀谷
生野高校生の思いから完成した「いくイエ」。図書の貸し出しにも応じる=朝来市生野町口銀谷

 「駅待合室の居心地を良くして」-。兵庫県朝来市生野町真弓、生野高校の生徒が市議会の「高校生議会」で提言した要望により、同市生野町口銀谷のJR生野駅東口にある待合室が、交流施設「いくイエ」として生まれ変わった。駅の利用者に限らず誰でも利用でき、生徒らは「地域の人と交流できる温かい施設にしたい」と喜んでいる。(大高 碧)

 きっかけは、2024年8月に開かれた高校生が市政について市議に質問や提言をする高校生議会だった。同校の女子生徒らが同駅の待合室は空調設備がなく椅子が少ないなどとして、環境の改善を訴えた。

 生徒の発言を受け、同市は25年度一般会計予算に待合室改修の設計費を計上した。設計には、同校の総合的探究の時間「ゆめいく」で公共交通班に所属する生徒が、授業の一環として携わった。

 生徒らはさまざまな意見を取り入れようと、校内アンケートや地域の人を交えたワークショップなどを実施した。同じ但馬地域のJR香住駅(香美町)の待合室にある図書コーナー「ステーションライブラリー」も視察したという。

 アンケートでは、列車の待ち時間が1時間半ほどになる生徒がいることや、夏場は待合室に熱気がこもり暑いこと、いすの少なさから階段に座る生徒がいることなどが分かった。

 意見を基に、生野のまち並みに合わせた温かみのある内装を設計した。市は総事業費約1900万円を投じて改修した。

 室内には冷暖房を完備し、テーブル席3セットと10人分のカウンター席を用意した。要望が多かった電源やフリーWi-Fiも備え、図書の貸し出しも実施する。待合室はJR西日本から無償貸与を受け、同市が管理運営する。

 生徒らは完成を記念し、オープニングセレモニーを企画した。同市の藤岡勇市長は「(施設が)地域に新たなつながりを生み出すことを期待する」と話し、関係者らはテープカットで完成を祝った。

 事業に携わった公共交通班リーダーで3年の池田愛加理さん(17)は「思い描いた施設が完成して感謝でいっぱい。電車を待つだけの施設ではなく、学習や休憩、待ち合わせ、展示など地域の交流の場になれば」と話している。

 いくイエは、午前6時~午後10時半に開放する。