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 那覇市に住む39歳の女性を殺害して財布などを奪ったとして、沖縄県警が強盗殺人の疑いで、米軍普天間飛行場(宜野湾市)に所属する20歳の海兵隊員の男を逮捕、送検した。男は「私は知りません」と容疑を否認しているという。

 沖縄では戦中・戦後に米軍が土地を強制接収して多くの基地を置き、軍人・軍属による凶悪な事件が繰り返されてきた。今回の事件でも住民から強い怒りの声が上がっている。古謝(こじゃ)玄太知事が「断じて許せず、非常に憤りを感じる」と米軍と日米両政府に抗議したのは当然だ。早急な再発防止策が求められる。

 沖縄では1955年に6歳女児が米兵に殺されたほか、72年と82年にも女性が暴行、殺害された。海兵隊員ら3人が女子小学生に暴行した95年には、抗議の県民総決起大会が開かれた。その後も2016年に元海兵隊員が女性を暴行・殺害するなど事件はやまない。とりわけ女性や子どもが深刻な被害に遭い続けている現状は異常である。

 日本政府の抗議に対し、グラス駐日米大使は「捜査に協力し、再発防止のためにできることは全て行う」と述べた。だが事件が起きるたびに米軍が言及してきた綱紀粛正などは、ほとんど機能していない。

 性暴力事件が相次いで発覚した24年、沖縄県、米軍などによる協議の場が設けられた。ところが年1回しか開かれず、非公開で個別事件は議題にしないなど実効性に乏しい。県警と米軍の合同パトロールも始まったが、十分な効果は出ていない。県によると、米軍関係者による刑法犯摘発件数は25年に100件を超えるなど、むしろ増加傾向にある。

 沖縄県には在日米軍専用施設面積の7割が集まる。犯罪被害が生まれる背景には、この基地集中の問題がある。日米両政府は台湾有事などを念頭に、南西諸島での防衛力強化を進めている。しかし安全保障のために住民の人権が侵害されるような状況は、許されるものではない。

 両政府は犯罪を防ぐ対策を強化するとともに、基地の整理縮小に真剣に取り組むべきだ。

 今回の事件では、県警が基地の外で容疑者の身柄を確保した。日米地位協定では、米軍関係者が公務外で罪を犯した場合、容疑者が基地の中にいれば、身柄の引き渡しは原則として起訴後になる。1995年の暴行事件後、米側の「好意的考慮」で身柄引き渡しが可能になったものの、決定権は今も米側にある。

 不平等な地位協定は60年に発効した後、全く改定されていない。米兵の犯罪を抑止するためにも、協定の見直しは不可欠だ。日本政府は米側に改定を強く求めてもらいたい。