住民不在の早急な決定は危うい。「核のごみ」といわれる高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定で、茨城県常陸大宮市の鈴木定幸市長が、国からの文献調査実施の申し入れを承諾した。これを受け、原子力発電環境整備機構(NUMO)が調査を始めた。全国5例目で、本州では初めてである。
国の要請からわずか1カ月での判断だった。地元では「風評被害が出ないか」といった不安の声が聞かれたが、住民説明会などは開かれず、議会でも十分に議論されなかった。トップダウンによる決定が行政不信と地域の対立を招きかねない。
原発の稼働によって生じる核のごみの放射線量は極めて高く、数万年単位で地下深い岩盤に埋める必要がある。すでに青森県六ケ所村内の貯蔵施設には固形化された1800本以上が一時保管されており、処分は避けて通れない問題だ。
申し入れは火山や活断層が付近にないことなど処分適地を示す「科学的特性マップ」に基づくというが、明確な理由の説明を受けていない住民にとって唐突感は否めない。鈴木市長は「(核のごみ問題に)知らんぷりはできない」と語る一方、人口減少が続くまちの活性化につながることへの期待を隠さなかった。
念頭にあるのは交付金だ。約2年間の文献調査を受け入れた自治体には最大20億円の交付金が出され、その先の概要調査に進めば最大70億円だという。市長はまちの選択肢が広がるメリットを挙げている。
しかし、地域活性化にはさまざまな手法があり、調査の受け入れはまちの将来を広く話し合った上で判断しても遅くなかったのではないか。そもそも交付金をちらつかせる国の手法自体が、民意とかけ離れた判断につながる恐れがある。市長は概要調査に進むまでに住民投票なども考えるとしている。市民の声を丁寧に聴いてもらいたい。
同市は他の4例と違い、海に面しない内陸部にある。処分場ができれば、廃棄物を陸送しなければならない。輸送経路にある自治体の同意をどう得るのか。テロ対策などの安全性をどう確保するのか。地質環境とは別の、重要な論点である。
国は10カ所ほどの候補地から1カ所に絞る方針を示す。調査を主体的に申し入れたのは今年3月の東京都小笠原村に続いて常陸大宮市が2例目で、こうした矢継ぎ早な動きからは、原発の「最大限活用」を掲げ、稼働への理解を深めたい政府の思惑が透けて見える。ただ国民の不安は根強く、関心が高まっているとも言い難い。国には処分の必要性と安全性の根拠をしっかり示す姿勢と、透明性のある選定作業が求められる。
























