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 信頼回復と再生への道のりは厳しいと言わざるを得ない。モーター大手、ニデックの相次ぐ不正で明らかになったのは、長く続いたワンマン体制の弊害、すなわち深刻なガバナンス(企業統治)不全である。

 ニデックが先月発表した2026年3月期連結決算によると、赤字は5646億円、グループ全体の減損損失は6320億円に上った。費用計上の先延ばし、利益水増しといった会計の不適切処理が昨年発覚し、資産価値を見直した結果、当初の見込みを大幅に上回る赤字となった。

 不正は会計にとどまらない。今年5月にはメーカーの根幹である製品の品質に疑惑が生じた。その後の調査では、顧客の承認を得ずに部材や工程を変更したり、試験や検査の結果を改ざんしたりするなどの不適切行為が844件も認められた。

 会計不正を調査した第三者委員会は、創業者である永守重信氏の「過度な業績プレッシャー」が原因だと断じた。実力とかけ離れた目標の設定、コスト削減といった強い圧力が経営をゆがめる病巣となり、ものづくりの現場をもむしばんでいたといえる。問題を報告すると逆に報復を受けかねない空気があったといい、その根は極めて深い。

 同社は家電や車、パソコンの部品であるモーターを製造している。永守氏が1973年、仲間3人とともに京都市内のプレハブ小屋で創業した旧日本電産がルーツだ。「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」を掲げた強力なリーダーシップで事業を拡大させ、一代で連結売上高2兆円超のグローバル企業を築き上げた手腕は市場でも称賛された。

 一方で、第三者委が指摘したように、「赤字は悪」との考えを社内で徹底させ、目標が未達であれば経営幹部を叱責(しっせき)、罵倒する苛烈な姿勢は社内で恐れられたという。

 別に設けられた旧経営陣の責任を問う調査委は、永守氏をはじめ歴代社長らが職務を怠ったとし、監査役も含めた計9人に損害賠償責任があると結論づけた。同氏は昨年12月にグループ代表を辞任したが、公の場で自ら説明すべきである。

 さらにいえば、同氏は今も自社株を除く発行済み株式総数の8・61%を握る第2の主要株主だ。「永守商店」ともやゆされたその影響力を排し、古い企業風土と決別できるかどうかに信頼回復はかかっている。

 再生を託された社長が先月、突然辞任するなど同社の混乱は続く。内部管理体制の改善が足りないと判断されれば、上場維持も危うい。

 上層部の暴走が社内でもの言えぬ空気を生み、不正がまん延する。その代償は極めて大きい。教訓はむろん、ニデックだけのものではない。