ロシア連邦保安局(FSB)が北海道新聞の男性記者をスパイ容疑で拘束したと発表してから1週間以上がたつ。記者は取材拠点だった極東サハリン州からモスクワに移送され、12月12日までの勾留が決まったという。拘束の長期化を深く憂慮し、記者の即時解放を求める。
在ロシア日本大使館の職員らは領事面会のためモスクワの拘置所を訪問したが、いまだ実現していない。国際法は外国で拘束された国民の健康確認のため領事面会の権利を認めており、日ロ間では4日以内の面会が取り決められている。政府は記者の状況を一刻も早く把握する必要がある。同時に弁護士の介入や家族との連絡といった支援も欠かせない。
FSBは、記者がロシアの安全を脅かす目的で情報を収集し、ロシア刑法に違反した疑いがあると発表した。日本の情報機関の指示を受け、北方領土と千島列島からウクライナ侵攻に動員された兵士の人数などを調べたと主張する。有罪なら、10~20年の拘禁刑となる可能性がある。
北海道新聞社は「政府から独立した報道機関であり、指示に基づいて取材や情報収集を行うことはない」と容疑を否定した。高市早苗首相もスパイ容疑について「そのような事実はない」と述べた。ロシアは主張の根拠を明らかにしておらず、拘束は対日外交で圧力をかける意図も見え隠れする。
FSBが記者を取り押さえる様子はロシア国営テレビによって撮影、公開された。人権や外交上の配慮に欠ける暴挙に強い憤りを覚える。
北海道新聞は、北方領土を事実上管轄するサハリン州の州都ユジノサハリンスクに1992年から記者を常駐させてきた。ロシアのウクライナ侵攻で日ロ関係が悪化した後も、ロシアと国境を接する地域メディアの使命として極東の状況や変化を伝え続けている。公共性の高い仕事であり、意義は大きい。
加えて、拘束された記者は記者査証(ビザ)を取得している。ロシア側は取材の自由を最大限保障しなければならないはずだ。日本新聞協会も「強い懸念と憤り」を表明した。
ロシアは外国人記者をたびたびスパイ容疑で拘束してきた。2023年には米紙ウォールストリート・ジャーナルの男性記者を拘束。米大使の面会まで3週間近くを要した。記者は1年4カ月後に禁錮16年を宣告され、米ロなど7カ国間による26人の身柄交換で解放されている。
現在、日本にはロシア側が帰国を望む受刑者などはいないとされ、2国間での身柄交換は難しい。政府は西側諸国とも密に連携し、早期解放に向け、あらゆる外交努力を重ねなければならない。























