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第2部

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丹波市議会の広報紙「たんばりんぐ」。分かりにくい議会用語も丁寧に説明し、市民目線に立った編集を続ける(撮影・大山伸一郎) 林時彦議長 小橋昭彦議員 太子町議会の議場で自習する生徒ら。「神聖な場所」から脱却できるか=2018年7月、兵庫県太子町鵤
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丹波市議会の広報紙「たんばりんぐ」。分かりにくい議会用語も丁寧に説明し、市民目線に立った編集を続ける(撮影・大山伸一郎)

林時彦議長

小橋昭彦議員

太子町議会の議場で自習する生徒ら。「神聖な場所」から脱却できるか=2018年7月、兵庫県太子町鵤

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丹波市議会の広報紙「たんばりんぐ」。分かりにくい議会用語も丁寧に説明し、市民目線に立った編集を続ける(撮影・大山伸一郎)

林時彦議長

小橋昭彦議員

太子町議会の議場で自習する生徒ら。「神聖な場所」から脱却できるか=2018年7月、兵庫県太子町鵤

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 無投票となる選挙や低投票率が相次ぎ、議員のなり手不足や有権者の無関心が深刻化しつつある地方議会。住民の信頼を回復し、身近な存在をアピールするため、議員が積極的に地域の人々と交流したり、政策提案を行ったりし、独自の改革を進める議会も目立つ。議会特有の流儀を探ってきたギカイズムの続編「2」で、兵庫県内の先進議会を訪ね、取り組みを紹介する。(井関 徹)

■「日曜本会議」傍聴満席に/丹波市議会、市民目線で改革

 9月8日の日曜日。丹波市議会(定数20)で本会議が開かれ、六つある会派の代表者が登壇し、市政の課題をただした。

 11月には合併による市制発足から15年を迎え、本会議の開催は100回を超えた。これを記念し、平日は仕事で足を運べない市民に議会へ来てもらう狙いで、「日曜議会」を企画した。本会議の日曜開催は全国でも珍しい。

 開催の負担や経費を最小限に抑え、市側の出勤者は幹部のみにした。答弁に窮して進行が滞ることのないよう、議員は細かな数字などの質問を避けた。

 定員28人の傍聴席はほぼ埋まり、一日を通じて33人が質疑に耳を傾けた。傍聴者が少ない平日に比べ、その効果は明らかだ。

 30人が応じたアンケートでは10人が初傍聴と回答。全体の半数近くが内容を「満足」とした。モニターに質疑の要点を表示するよう求める意見や、重要課題を題材にした議論を期待する声もあった。

 林時彦議長(65)は「われわれでは気付かない指摘もあった。市側の負担を考えると気軽に継続できないが、今後も前向きに検討したい」と述べた。

     ◇    ◇

 早稲田大学マニフェスト研究所の「議会改革度調査」では近年、兵庫県内の上位を維持する同市議会。中でも議会広報紙は「全国屈指のレベル」ともされる。

 堅いイメージだった紙面の見直しは4年前、30代の最年少議員の思いから始まった。

 「読み手の視点が全くないし面白くない。議員の言いたいことだけを書いていた」。元市議の横田親(いたる)さん(37)は振り返る。

 1期目の後半に編集委員長に就くと、事前に議長の同意を得て改革を断行。市の広報紙編集に携わっていた事務局職員にデザインを頼み、誰でも読める紙面を目指した。

 古参議員らの理解を得るため、若い市民モニターを集めて感想を聞き、「堅すぎて読めない」という住民の声を提示。読者のターゲットを30代~40代の子育て世代の女性に絞った。

 「議会のことを市民はそんなに分かっていない。議員も市民感覚を理解できていなかった」と横田さん。

 親しみやすい紙面づくりは引き継がれ、読者モニターとして高校生に意見を聞く「読モ会議」を導入。議会に思いを届ける方法を「議会のトリセツ」として特集し、市民50人に市議会への期待を聞くなど、参加を誘う仕掛けをちりばめている。

     ◇    ◇

 3年前の改選で定数20のうち新人が11人当選し、議会の景色は一変した。新陳代謝が進んだ一方で、新たな課題も見え始めた。

 「議員経験が浅い新人は、市政の課題を見つけたり、税金が重要課題に効果的に使われているかを見極めたりする力が弱い」

 1期目の議員でつくる会派代表の小橋昭彦さん(54)は自戒を込めて言う。一方で「市民目線で政策提案している」と力を込める。

 こうした状況もあり、予算や決算の委員会で市側に質問して採決する流れから、いったん議員同士で討議し、問題点を整理して臨む手順に変えた。議会が一致し意見を市側に示せばプレッシャーにもなる。

 9月定例会では、市が提出した2018年度一般会計決算にノーを突き付けた。補助金の支給を巡り、不適切な事務処理が明らかになったためで、反対多数で不認定とした。

 ただ、異例の事態にもかかわらず、採決前の委員会討議は反対派のみが意見を述べ、賛成の立場からの表明はなく、議論は低調だった。

 林議長は議会の行方に横たわるハードルを見据える。「改革によって制度の充実は進んだが、それを使いこなせていない。議員力の向上が不可欠だ」

■「神聖な場所」改め、議場の開放模索

 「神聖な場所」。議員にとって特別な空間だが、住民が訪れるにはハードルの高い議場を使い、議会と住民の距離を縮めようとする動きが広がりつつある。

 「火事の現場で『消防車の水が出なかった』という声を聞いたが、どうか」

 9月19日に開かれた小野市議会(定数16)の本会議。議員が市政について質疑をする午前中の議事を終え、休憩に入った直後、傍聴席の男性がマイクを握り市幹部に質問を投げ掛けた。

 6月の定例会から導入した「議会と市民との懇話会」。傍聴者から議員や市幹部らが質問や要望を受ける兵庫県内では珍しい試みで、住民の声をすくい上げる手法の一つとして始まった。

 6月議会では、倒壊の恐れがある空き家の撤去を求める要望があり、市が対応し解決につながった。

 6月と9月議会では延べ計10人の傍聴者が発言した。市民が議場を訪れるきっかけに-との狙いもある。川名善三議長(63)は「発言者がいないと思っていたので意外だった」と驚きつつ「住民に開かれた場になれば」と期待する。

 兵庫県太子町議会(定数15)は昨年、夏休み中の生徒らに議場を自習室として開放する全国的にも異例の取り組みを始めた。

 本会議がない夏場に着目し、議会を身近に感じてもらうため、机を円形に配した議場そのままの状態で開放。昨年は25日間で中高生ら363人が利用し、今年は23日間で411人が勉強に励んだ。

 議会事務局によると、開放が注目され、空きスペースを有効活用する意識が民間でも広がりつつあるという。そして、もう一つの効果も明かしてくれた。「一部の議員に残る『議場は神聖な場所』という考えをぬぐい去りたい。そうすることも開かれた議会の一歩になる」

2019/10/24

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