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「収穫した野菜で田中邦衛さんを描いてみました」(古今亭志ん五さん提供)
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「収穫した野菜で田中邦衛さんを描いてみました」(古今亭志ん五さん提供)

 「収穫した野菜で田中邦衛さんを描いてみました」。Twitterに投稿された1枚の作品が注目を集めています。

 作者は落語家の古今亭志ん五(しんご)さん(46)。家庭菜園で自ら育てたナスとシシトウ、プチトマトを個性派俳優の顔のパーツに見立て、特徴的な無精ひげや帽子などを付け足し似顔絵を完成させました。作品を見たユーザーからは「素晴らしい」「ひと目でわかるのがすごい」「天才」など絶賛の声が寄せられています。志ん五さんに電話で制作秘話を聞きました。

■ザルの上の野菜が「顔に見えた」

 野菜を使った似顔絵は「今年見つけた趣味です」。ある日、家庭菜園で収穫した野菜をザルの上に並べたら「顔に見えた」。両目、鼻、口の4つのパーツが偶然そろったことでインスピレーションを受けます。「偶然曲がって育ったことで何かに見えてくる。野菜次第です。変形したからこそ画材になるんですね」。田中邦衛さんの似顔絵も「曲がったシシトウが邦衛さんの口になりました」。

 まずは紙に野菜をのせ、次に顔の輪郭や頭部、服などをペンで描き足し、最後に写真を撮影。「野菜が先。野菜ありきです」。Twitterには「見た人が笑ってくれたら」と遊び心でアップしたといいます。

 撮影が終わった野菜は「カミさんが料理してくれました」。イラスト部分は?「抜け殻は全て保存してます」。

 これまで作った「野菜似顔絵シリーズ」は師匠の古今亭志ん橋さんを始め、織田信長や志村けんさんなどそうそうたるメンバーが並びます。「好きな人でないと描けない。師匠は世の中で一番好きな顔。面白いし、人もやさしいし」。

 8月29日に発表した最新作「米津玄師さん」は、ザルの上のシシトウ2つとピーマン1つを見た瞬間、「鼻と口でいける人がいた!」とひらめき、即制作。ユーザーからも「センスある」「すごい」「感動しました」などの感想が届き、志ん五さんも「かっこよく出来上がりました」と満足そうでした。

■大喜利王賞品の「スイカ」がきっかけ

 志ん五さんの似顔絵で重要な役割を果たす野菜作りは実は5月に始めたばかり。4月末に開催された「第18回落語協会大喜利王選手権」で優勝したことがきっかけでした。

 優勝賞品は大きなスイカひと玉。おいしくいただき、何とはなしに種をまいたら5日後に発芽。「感動した勢いのまま園芸店に行き、野菜やプリンスメロンの苗を買いました」。

 手始めにナス、キュウリ、シシトウ、ミニトマトの苗を購入。100円の土でスタートしたところ、7日目に小さな実がつき始めます。野菜愛は加速し、ニワトリのフンを使った肥料などを追加で投入するまでに。

 15日目には初めてナスを収穫。この日、志ん五さんは自身のTwitterに「パプリカと炒めたら一丁前にナスの味です」と親心あふれる投稿をします。

 ちなみにスイカの芽は開花まででしたが、メロンは順調に成長し収穫できました。「千疋屋に並べてもいいくらいの味のものができた」と老舗果物店の味と遜色のない出来栄えに胸を張ります。

 今ではプランターを並べた庭の一角を「志ん五農園」と名付け、約30種類の野菜を育てる農園主になった志ん五さん。「はまっちゃった」と笑います。

■絵の勉強は「したことがない」

 もともと似顔絵を描くことは好きで、毎月開催の人気落語イベント「渋谷らくご」で配るフリーペーパーにも連載ページを持つほどの腕前。しかし絵の勉強は全くしたことがないというから驚きます。

 後輩には「兄さんの絵は何も知らないで描いてるところが味だから。教わらない方がいい」と言われたことも。「土いじりも絵を描くことも好き。味しかないです。熱量だけでやってます」。

 取材の最後に、これまでの作品写真を記事に使用したいと申し出たところ、電話口の向こうで誰かとやりとりしている様子が聞こえてきました。

 戻ってきた志ん五さんはひと言「大丈夫だって」。どなたかの許可を?

 「野菜たちに聞いたら『使っていい』って目配せしてました。野菜たちにも気持ちがありますから」(志ん五さん)

(まいどなニュース・金井 かおる)

2021/8/31
 

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