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映画「僕とオトウト」の一場面
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映画「僕とオトウト」の一場面

京都大学の大学院で共生人間学を学ぶ学生が、重度の知的障害がある自身の弟にカメラを向けたドキュメンタリー映画「僕とオトウト」が完成した。「弟との楽しい日々を描く映画」を目指すつもりが、いつしか「弟は何を考えているのか」「コミュニケーションが難しい相手とわかり合うことはできるのか」といった問いと七転八倒しながら向き合うことに…。10月22日から京阪神の映画館で公開されるのを前に、現在、配給・宣伝を担う仲間の学生たちが3週連続でオンラインイベントを開催中。多くの人に映画を届けようと尽力している。

「僕オトの湯」と題されたzoomでのプレイベント。10月3日夜の初回ゲストには、本作の監督である高木佑透さんのほか、「ミャンマー(ビルマ)の民主化を支援する関西学生ネットワーク」代表の宮地葵さん(同志社大4年)、脊髄性筋萎縮症の当事者で24時間介助を受けながら障害学の研究に取り組む油田優衣さん(京都大大学院修士1年)の計3人を迎えた。

■知的障害がある弟のことをもっと知りたい

高木さんは6歳下の弟・壮真さんを幼い頃からかわいがり、友人らにも壮真さんの存在を隠したことはなかったという。しかし高木さんが進学で実家を離れている間に壮真さんもたくましく成長。親の手に負えなくなることも増え、高木さんは「いずれ自分が面倒を見ることになるのか」と真剣に考えるようになった。

「壮真のことをもっと知りたい」。そんな願いを込めて弟にカメラを向けるうち、映画は「大切な人にどうやって思いを伝えるか」というコミュニケーションの根本に立ち返っていき、やがて「わかり合えないことはわからないままでもいい」という境地にたどり着く。

■相手を「わかった気になる」ことの危険性

オンラインイベントでは、宮地さんと油田さんがそれぞれ自身の活動を紹介した上で、高木さんを交えて映画の感想をざっくばらんに語り合った。特に障害の当事者である油田さんは「(障害者について健常者が)わかった気になる」ことの“暴力性”に度々言及。高木さんが弟のことを「かわいそう」「切ない」と感じてしまう気持ちは「理解できる」としつつも、「ただ、ケアされる側としては『ん?』と思う」と釘を刺し、だからこそこの映画が「簡単に相手をわかった気にならない」という結論を提示したことを「痛快」と評した。

身近に障害者がいないため、見る前は少し身構えていたという宮地さん。本作から「自己との対話」や「家族や他者との向き合い方」をストレートに問われていると感じたそうだ。

■京阪神の映画館で10月22日から公開

「僕とオトウト」は、神戸の元町映画館を拠点にドキュメンタリー映画の制作に取り組む有志の集まり「元町プロダクション」が制作。プロデューサーは「蟻の兵隊」などの作品で知られる映画監督の池谷薫さんが務めている。

10月22日から京都みなみ会館、30日から元町映画館、11月6日から大阪のシネ・ヌーヴォで公開(元町映画館とシネ・ヌーヴォは1週間限定)。

オンラインイベントはあと2回。9日は「映画をつくるっておもしろい」、16日は「心のコリがほぐれるよ」をテーマに開催する。いずれも19時から20時半まで。100人限定で、関西在住者が対象。問い合わせは上映委員会(bokutootouto@gmail.com)まで。

(まいどなニュース・黒川 裕生)

2021/10/6
 

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