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常に「お正月」をしているという、日本正月協会という団体があったとは!
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常に「お正月」をしているという、日本正月協会という団体があったとは!

年末が近づいてきました。すでに、食品メーカー、デパート、飲食店などで、この年末に販売するおせち料理が数多く発表されています。コロナ禍2度目のお正月とあってか、帰省などが控えられることを予測してか、多種多様なおせち料理がありますが、そもそも「おせち」とはどんな定義があり、その作法などはどうなっているのでしょうか。

そこで今回は、365日「お正月」のことを考え、「お正月」をし続けているという日本正月協会の総理事長・今成優太さんにアレコレと疑問を投げかけてきました。

■おせち料理と、奇数ゾロ目の日の意外な関連性とは!?

年々、おせち商戦が盛んになっており、報道などでも「今度のお正月のおせちのトレンド」のような特集が組まれることもあります。しかし、おせちの成り立ちや定義については私たち日本人もよく知らないことが多く、まずこの点について聞いてみました。

「おせち料理はもともと、古代の中国から渡ってきた『五節句』の文化に関係しています。

3月3日、5月5日、7月7日、9月9日といった『奇数がゾロ目で重なる日は不吉だ』といういわれがあり、その邪気避けのために節句がありました。

ただし、1月だけは少し特別で、1月7日を人日の節句としています。その節句の時に神様にお供えし、食べられる特別なごちそうが『おせち料理』で、もともとは1月だけではなく、他の節句の日にも食べられていました。

この慣習は、江戸時代まではかなり厳粛に行事が行われていたようですが、江戸時代から明治時代に移り変わるときに、西洋国家に負けない近代国家を作るための明治政府の意向で五節句の風習が取り払われてしまいました。その影響で、今でもまだ生き残っているのが、1月のおせち料理のみ、ということになります。

『重箱に入れるのがおせち』というイメージは、明治以降にできた文化の影響のようで、重箱に入っていることを前提としたマナーや作法、見た目のイメージは、それ以後の世代が新たに生み出したものではないかと考えられます。

このため、節句本来の作法やマナーは、明治時代にほとんど消えてしまったのではないかと考えられています。関西では『五節句の文化が色濃く残っている』とも聞かれる一方、東日本ではかなり希薄になっています。

ところで、明治以降の近代化によって、温暖化による気候変動が起き、近年、様々な『不吉な自然災害』が増えていることを考えると、私は、このような五節句のいわれは『単なる迷信』ではなく、やはり、なくしてはならない文化だったのではないかと考えています。

ですから、形式的な作法やマナーも確かに大事かもしれませんが、それよりも、昨年1年間、生きながらえて、無事に新年を迎えられたことに感謝し、自然の恵みとしての食べ物が今、目の前にあることへの感謝の気持ちを持って食べることが、まずは大事ではないかと思います」(今成さん)

こういった理由から、今成さんは様々なおせちの定義やマナーよりも、「年神さまや先祖の霊に対して感謝する気持ちのほうが大事なのではないか」とも言います。

「おせちを食べる際に、『祝い箸の、使っていない反対側は、年神様が使うもの』といった様々ないわれはあるものの、『一つの箸の反対側を別の誰かが使う』といった発想は、コロナ禍の現代には沿わない部分もあります。

それ自体も、元を正せば、年神様または先祖の霊に対する感謝の気持ちがカタチとして現れたもののはずで、単に形式にとらわれるばかりでなく、新年の到来を契機に周辺への感謝の気持ちが現れたカタチとしてのマナーや作法こそ、尊重していくべきだと考えています」(今成さん)

■正統なおせちの進化とは?

今成さんのお話の通り、おせちで大切にすべきは、例えば「重箱に入っている」といった様式というよりも、「何月何日に食べるか?」のほうが特に重要な要素とも言えそうですが、近年では「おせち料理の具をモチーフにしたケーキ」「重箱に入っているカップラーメン」なども面白おせちとして販売されています。こういったものに対しても、今成さんは「食べるタイミングさえ正しく、年神様や先祖の霊への敬意があれば『おせち』として見て良い」とのことでした。

他方、節句とは全く関係のないタイミングでとある地域で販売される「夏おせち」といったものは正統ではないとの厳しい意見も聞かせてくださいました。

「五節句と関係のないタイミングで発売された『夏おせち』は、たとえ重箱に入っていても、本来のおせちとは全く違うものだと感じました。夏場に、重箱に入ったお弁当を新商品として企画・販売すること自体は、素晴らしい提案だと思います。ただ、7月7日や9月9日と関係ないならば、『おせち』と呼ぶべきではありません。形式や見た目のイメージだけで『おせち』という名前を使っていることを嘆かわしく思いました。

他方、近年では『ペット用おせち』といったモノが販売されているのを見かけたりもします。私としては、これはおせち料理の正統な進化系ではないかと思います。不吉さの影響を受けるのは人間だけではないはずなので、ペットも邪気払いをする方がいいというのは、本来の考え方にのっとった、自然なおせちの進化だと思います」(今成さん)

■2022年のおせちのトレンドと、コロナ禍2度目のお正月の傾向

ここまでの今成さんのお話を受け、さらに気になるのがコロナ禍2度目となる2022年のお正月です。おせちも含め、今度のお正月がどうなるかを今成さんに予想していただきました。

「『新型コロナの第6波が来るかもしれない』という警戒感が報道でささやかれています。その真偽は私にはわかりませんが、いずれにせよコロナ禍以前のような大きな集まりがしづらい状況は、去年に引き続き今度のお正月も同様なのではないかと考えています。

また、おせち料理については『お1人さま用おせち』が出始めています。大勢で大皿をつついて宴会を開くのでなく、感染対策のため1人1人にあらかじめ分けられたおせちをお召し上がりになるような流れも増えるかもしれません。

初詣やお祭りなどの正月行事に関しては『リモートで初詣ができる寺社』も出始めていますが、日本正月協会でも『360度パノラマ映像による無形文化のライブ中継と保存サービス』により、これまでにない臨場感での、正月行事の体験を提供していく予定です。

このように、お正月イベントのオンライン化は、去年に増してさらに加速しています。『withコロナ』の流れに対応した様々なサービスが、去年に比べて充実し、こういったものを介したお正月の楽しみ方が増えるのも、今度のお正月の特徴だと考えています。

従来の年始には全国各地、多くの神社やお寺で手水のところに『ひしゃく』が置いてありました。しかし、2021年のお正月では、新型コロナウイルスの対策のため、手水のところにひしゃくを置くシステムが廃止されたところが多く、その代わり、手水のところに竹や花のにぎやかな飾りをする神社やお寺が多々ありました。2022年のお正月が、こういったものと同様になるかは定かではありませんが、『新しいお正月』が生まれていくような、潮流そのものを是非満喫していただければと思います」(今成さん)

なんとも深いお話でしたが、ご回答くださった今成さんは、「ミスターお正月」の名でユーチューバーとしての活動も行っており、年間を通して「お正月」をテーマとした動画配信も行っているようです。こちらもぜひチェックしてみてください!

(まいどなニュース特約・松田 義人)

2021/11/21
 

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