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床に散らばる1万円札 先立った息子を忘れ「今日帰ってくるから渡すの…」 街の電気屋さんが見た高齢世帯のリアル
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床に散らばる1万円札 先立った息子を忘れ「今日帰ってくるから渡すの…」 街の電気屋さんが見た高齢世帯のリアル

エアコンやテレビがつかない!家電が突然壊れてしまうと困りますよね。そんなピンチのとき、頼もしいのが近所の電気屋さんです。先月我が家のテレビが壊れたときも、なじみの電気屋さんにお願いしてすぐに対応してもらいました。そのとき電気屋さんから聞いた話が忘れられず、電気屋さんの了承を得て、高齢者の家で起きたトラブルの一部をご紹介したいと思います。

■電話機を交換してほしいという依頼

その電気屋さんは、店を開いて30年以上経つ昔ながらの電気店です。大きな家電量販店とは異なり、地域に根ざした店であることから、利用する客は近所のなじみ客が大半です。テレビが映らない、エアコンが壊れたという依頼から、蛍光灯を取り替えてほしいといった小さな依頼まで対応してくれます。

とくに高齢者の方は自分で電球の取り換えなどをすることが難しく、また家電について詳しくない方も多いため、家に来て直接見てほしいという依頼の7割ほどは高齢のお客さんだそうです。

ある日、なじみ客の一人、80代のAさんから「電話機を失くしたので新しいものに取り替えてほしい」という依頼がありました。

1台はあるが、もう1台を失くして不便なので買い換えたいという内容でした。

これを聞き、電気屋さんは電話機の子機を失くしてしまったのだと判断しました。こうしたケースは高齢者の家ではよくあるため、電気屋さんは新しい電話機を持ってAさんのお宅へ向かいました。

電気屋さんがAさん宅を訪れるのは数年ぶりのこと。玄関から入ると、まず荷物があちこちに散らばっていて驚いたそうです。

異様な雰囲気を感じつつ、リビングに入り電話機が置いてある場所へ向かいました。すると、それまであった親機がなくなり、電話線だけが伸びています。

その線をたどっていくと…。

そこはなんとタンスの中。電話機は、タンスの中にしまわれていました。Aさんが言った「電話機が見つからない」のは、自分で親機をタンスにしまったからです。Aさんは、子機を使って電気屋さんへ連絡したようでした。

■ふと、こたつに目をやってギョッ

Aさんに認知症の症状が出ている…電気屋さんは不安を感じつつ、とりあえず古い電話機を元の位置にセットし、新しいものは不要だと説明しました。

そしてふと、こたつに目をやりギョッとしました。

そこには何十枚もの1万円札が散らばっていたのです。

「このお金はどうしたのですか?」

そう電気屋さんが聞くと

「今日息子が帰ってくるから、そのお金を渡さなくてはならない」

とAさんは言います。

しかしAさんの息子さんは確か亡くなったはずです。電気屋さんとAさんとの関係は古く、息子さんが病気で亡くなられたことを、以前聞いたことがあったのです。

電気屋さんは「とりあえずお金をしまいましょう」と提案し、すぐに地域包括支援センターへ連絡をしました。

のちにAさん宅へ行った役所の人から話を聞いたところ、Aさんの家には押し売り詐欺のような男が出入りしていたそうです。あのときのお金は、どうやらその男に渡す予定だったようです。電気屋さんのおかげで、Aさんは詐欺の被害に遭わずに済みました。

■高齢者を地域で見守る必要性

このほかにも、電気屋さんが高齢者のお宅に行ったおかげで、大きな事件にならずに済んだということは何回かあるそうです。また、事件というまでではありませんが、冷蔵庫の電源を自分で抜いて食材を腐らせてしまったり、自分でリモコンを隠してテレビが見れない、といったトラブルは多発しているといいます。

高齢化が進む日本において、こうした電気屋さんのような存在は必要不可欠でしょう。街の電気屋さんは電気のトラブルを解決しているだけではなく、高齢者を見守る役割もあるのだと感じました。

(まいどなニュース特約・長岡 杏果)

2022/1/23
 

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