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幅広い層に楽しんでほしい小沢仁志(撮影:石井隼人)
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幅広い層に楽しんでほしい小沢仁志(撮影:石井隼人)

映画俳優・小沢仁志(60)の矜持が濃縮されたリベンジアクション映画の誕生だ。主演・脚本・製作総指揮を担った還暦記念映画『BAD CITY』(2023年1月20日公開)では、昭和のカタルシスをテーマに「セーフティーもコンプライアンスも全部取っ払ったリベンジアクション」を目指した。

■参考にしたRIZIN骨折試合

ある容疑で勾留されていた元強行犯警部の虎田誠(小沢)をリーダーにした特捜班が、日本のヤクザと韓国マフィアの激しい抗争の裏に隠された巨悪を暴く。メガフォンを取ったのは『マンハント』『ベイビーわるきゅーれ』『生きててよかった』のアクション監督として知られる、園村健介だ。

見どころはやはり、還暦目前とは思えぬ小沢によるノースタントのバトルアクション。「まるでRIZINの試合みたいだろ?」と手応え十分の小沢は「そもそも園村監督からイメージとして見せられたのがRIZINの試合。チャンピオンが相手選手の腕をへし折った映像だから」とリアル志向であったことをうかがわせる。

鉄パイプやバット、さらには拡声器までが武器として登場。刃物や銃では出せない鈍痛が画から浮かび上がる。「ドスや銃と違って何度叩いても相手は死なないし、120人くらいと戦う場面では後ろからも容赦なくボッコボコに殴られる。小道具ではあるけれど、それなりに硬いから殴られたら痛い。でもその方が観ているお客さんもハラハラするだろ?」と迫力のためならば肉体も捧げる覚悟だった。

■パンチで指がバキッ!

『日本統一』シリーズで知られる山口祥行とのタイマン場面は、ストリートファイトそのもの。山口とは旧知の仲ゆえに「フックのところをあえてアッパーにするとか、フリーで殺陣を変えて当たるギリギリを攻めた。するとヤマ(山口)もイラっとして殺陣にはない肘打ちを出してくる。グラウンドではヤマがパンチを避けた弾みで俺の拳がコンクリに当たって指がバキッとなった。でもこれは怪我じゃない。必然だな」と全力で激突した。

これまでの作品同様、スタントなしですべてのバトルを小沢自身が務めた。「自分がやりたいと言ってスタントマンを使ったとして、万が一のことがあったら俺が後悔する。俺がやりたいと思って自分でやって何かがあったら後悔はしない。ただそれだけだ」と理由を明かす。

それにしても還暦目前とは思えぬ体のキレと無茶がある。「世間的には還暦だろうけれど、俺の意識と実年齢が食い違っているだけだな」と高笑いだ。

■『SCORE』のリベンジ

本気度MAXのハードアクションもさることながら、鶴田浩二や高倉健のように黙して語らず、佇まいで魅せる小沢の演技にも目が奪われる。「悔しさや悲しさを涙で表すのではなく、クールであることで血も涙もないと言われながらも、オーラで慟哭を感じさせる。今はなき昭和のカタルシスをテーマとして意識した」と狙いを語る。

小沢の名を一躍知らしめたガンアクション『SCORE』(1996年)の熱量に勝るとも劣らない作品が、令和の世に生まれた。

「『SCORE』は日本のアクション映画に新風を吹かせたという自負はあるけれど、興行的には負けだった。ある意味『BAD CITY』は『SCORE』のリベンジ。最近の流行の日本映画には絶対にない、ほかの俳優では絶対に出来なかった、セーフティーもコンプライアンスも全部取っ払ったリベンジアクションだ。情念としては昭和ながらも、アクションは令和。幅広い層に楽しんでほしいね」と反響を期待している。

(まいどなニュース特約・石井 隼人)

2023/1/18
 

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