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緊張のあまり座りながら寝ることもあった保護犬・ポグバ
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緊張のあまり座りながら寝ることもあった保護犬・ポグバ

保護犬の譲渡活動を通じ、「殺処分ゼロ」の実現を目指すピースワンコ・ジャパン(以下、ピースワンコ)。

2018年、同団体にわずか1歳にして引き取られたワンコがいました。引き取られた当時、ちょうどサッカーのワールドカップが開催されており、出場していたフランスのサッカー選手、ポール・ポグバにちなんで、「ポグバ」と名付けられました。

保護当時、他の犬に比べ若かったこともあり、他のワンコとのコミュニケーションの仕方が分からず、先輩ワンコによく怒られていました。また、ポグバは警戒心がかなり強いため、スタッフが近くに来ると吠えたり、犬舎に人がいると緊張することもあり、ときには「油断しないぞ」とばかりに、座ったまま寝ていることもありました。

■施設に来てから約2ヶ月ほどでポグバの鳴き方が変わった

スタッフは、ポグバに「人は怖くない」ということを理解してもらうため、様々な方法でポグバと仲良くしようとしました。

近くに寄って来たときにはおやつをあげたり、やさしく声掛けをしたり、根気強くお世話をしました。

こういったスタッフの根気強いコミュニケーションによって、ポグバも少しづつ環境に慣れていきました。ちょうど施設にやってきてから約2ヶ月ほどが経過した頃、ポグバの鳴き方に変化が表れました。

それまでは警戒心や何かを要求するような吠え方だったのに対し、甘えたような鳴き方をするようになったのです。散歩をするときもスタッフの脇について歩くようになり、人に対して友好的な行動をとるようになりました。スタッフが親身にお世話をしたことがポグバの心をオープンにし、人間と過ごすたくさんの時間を楽しめるまでに成長することができたのです。

■吠えてしまい「凶暴なワンコだ」と誤解されることも

随分と成長してくれたポグバですが、ただし、完全に警戒心がなくなったわけではありませんでした。知らない人が周りにいると、怖さからか威嚇し吠えてしまいます。同団体の譲渡会に参加させても、お客さんに吠えてしまうことがありました。その体の大きさも手伝って、その声は多くのお客さんを怖がらせ、「凶暴なワンコだ」と誤解されることもありました。

結果、なかなか里親が決まらなかったポグバですが、ホームページからの問い合わせで里親希望者さんが現れました。

里親希望者さんは実際にポグバと面会し、迎え入れることを決意されました。これまで、ポグバの行動に苦労し続けた担当スタッフは、そのときしていた仕事の手を止め、うれし泣きをしたと言います。ポグバは本来の性格の良さと、一見さんの前で見せる姿との間に著しいギャップがあったため、譲渡への道も容易いものではなかったからです。

■活動の延長線上にあった、新しい家族との「縁」

新しい里親さんの元には、先住犬もいましたが、これまで同団体で念入りなトレーニングを重ね、他のワンコとも十分なコミュニケーションを取れるようになったポグバです。すぐに新しい家庭、そして先住犬とも馴染みました。そして、ポグバは新しい里親さんの家で「ポギー」という名を授かり、第2の犬生をおくることになりました。

施設に当初来たばかりのポグバはお世辞にも新しい家族を見つけるのはほど遠い状態でした。しかしスタッフは懸命にポグバを成長させようと努力しました。この努力にポグバも答えて日々成長していき、活動の延長線上に新しい家族との「縁」がつながっていきました。

これからも同団体では、なんらかの事情で保護されたワンコたちを、1頭でも多く幸せな第2の犬生へと繋いでいきます。今後もその活動に注目です。

(まいどなニュース特約・松田 義人)

2023/2/20
 

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