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ごのくにのかたち

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 兵庫県人って? そのイメージを端的に言い表すことはできるのだろうか。

 摂津=おしゃれで進取的で洗練されたナルシスト

 播磨=やや保守的で頑固、剛毅(ごうき)、姫路城がプライド

 丹波=ぐちぐち文句を言いつつも世話焼き気質

 但馬=内気で辛抱強く無口、温和で消極的

 淡路=外観に似合わない年長者としての振る舞い

 47都道府県を擬人化した漫画「うちのトコでは」(飛鳥新社)で設定された兵庫のキャラクターだ。2010年の発刊以降、大胆な特徴付けが話題を集め、現在は5巻が店頭に並ぶ。

 「海を見るとテンションが上がる」(岐阜)、「短気で感情的だが、女性は日本一気立てが良い」(群馬)のように、原則は都道府県に1人ずつ。日本一広い北海道も、おおらかで人懐こい「道産子お兄ちゃん」にまとめている。唯一の例外が兵庫で、5人いる。

 作者のもぐらさん(年齢、性別非公表)は松山市在住で、兵庫に特別なゆかりも思い入れもない。あくまで47分の1として捉えていたが、歴史や風土を調べれば調べるほど、絞り込めなくなったという。

 「おしゃれでハイカラな巻き髪の女性という神戸のイメージでまとめようとしたら、脳内で播磨の人が文句を言ってきて…」。苦肉の策で、旧五国の枠組みに落ち着いた。

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 「南から北の海まで達し、天下無類の状況になる」。1876(明治9)年、内務卿大久保利通から意見を求められた但馬出身の官僚、桜井勉の一言が兵庫の広大な県域を確定させた。

 桜井は、但馬などの豊岡県と、主に播磨の飾磨県を合わせて独立させる案を示していたが、国際貿易港の神戸を支えるため、後背地を広くとりたい大久保の考えをくんだという。

 その約80年後、戦後復興の歩みを進める兵庫で、桜井の「天下無類」を下地にしたようなキャッチコピーが打ち出される。「雄県(ゆうけん)兵庫」。1953(昭和28)年に神戸新聞社が著した同名の書籍で、当時の知事、岸田幸雄は「強く、たくましく、すぐれた地方団体であることを示す言葉」と評している。

 県民一丸となって敗戦から立ち直り、高度成長期に差し掛かる時代を象徴する力強い表現。昭和が終わり、平成もあと1年余りとなった今、なじみは薄くなったが、死語ではない。

 昨年6月の県議会定例会。一般質問に立った議員が、こう切り出した。

 「明治政府が日本を三つの府と35の県としたとき、兵庫県は人口134万人で、東京府、大阪府をしのいでいた。まさに雄県兵庫だった。そして、その頃の栄華を今も誇りとしている」

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 もぐらさんが考えた兵庫の5人の中に“反抗的”な紹介文が付くキャラクターがいる。「兵庫にまとめられた感があるのが結構納得いってない」

 播磨である。

 出身、在住者を播州人(ばんしゅうじん)と呼ぶ。兵庫の県民性を語る上で、避けては通れない存在だ。

 「神戸の祭りを見ると、地元の秋祭りが圧勝だと感じる」(高砂市、30代男性)、「焦って車を運転していると、播州弁の『なんどいや』が口に出る」(姫路市、30代女性)、「三輪そうめんより揖保乃糸。しょうゆはヒガシマル」(宍粟市、50代女性)

 播州人としての意識や自覚を尋ねた本紙のアンケートからは、明治政府による強引な線引きや雄県の表現では収まりきらない個性が浮かび上がってきた。

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