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ごのくにのかたち

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店頭に五国の旬があふれる=神戸市中央区元町通5(撮影・斎藤雅志)
店頭に五国の旬があふれる=神戸市中央区元町通5(撮影・斎藤雅志)

 兵庫県各地から入荷しました-。手書きのPOPが隠れそうなほど、大ぶりな白菜、葉をつけたままの大根が売り場に積み上がる。

 広い県土が育む豊かな恵み。「同じ野菜でも、土の違いが味に出る」。そう感じる主婦や料理人らが、旬の野菜を手にしていく。

 「元町マルシェ」。神戸元町商店街にあるアンテナショップ。淡路、丹波、播磨、但馬の集落から、住民が出荷した野菜などを、冷蔵車で消費地の摂津に集める。県は地域再生促進事業に認定し、運営費を補助する。わずか10坪だが、2014年の開店から3年で売り上げは4倍になった。

 「都会の人に喜ばれ、出荷する人には励みになる。五国の人と人がつながった」。統括責任者の千種和英さん(50)=兵庫県佐用町=は、そう手応えを話す。

 「都市と農村が共存しているのが兵庫の魅力。うまくつながれば、田舎に眠る価値が高まり、地域も、住民も元気になれる」

 店の看板には「ひょうごの元気ムラ」とあった。

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 「雄県(ゆうけん)」と交通網の整備拡大は切っても切り離せない。とりわけ但馬に通じる南北道は、兵庫県の発足当初からの課題だった。

 国は、中国道や山陽道など県土を東西に貫く高速道路の整備を担い、県は播但連絡道路の建設を進めた。

 播但道は姫路市と朝来市を結ぶ全長約65キロ。1970年に着工し、北へ北へ。全線開通は2000年。30年をかけてつながった。

 「天空の城」竹田城跡があり、緑豊かな兵庫県朝来市。月刊誌の「住みたい田舎」ランキングで、16年に初めて全国1位に輝いた。

 1年前に東京から移住した高橋麻弥子(まやこ)さん(40)夫婦は、JR竹田駅近くの商業施設にパンケーキ店を開いた。今年は、駅前に念願の自分たちの店を出す。

 「あまり田舎過ぎても不安だった。日常の買い物には困らないし、近所付き合いもある朝来の雰囲気に引かれた」。同市あさご暮らし応援課によると、高橋さん夫婦を含め、16年度に55世帯116人が移住した。

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 鳥取と接する兵庫県北西端、新温泉町。昨年9月、同町初の道の駅「山陰海岸ジオパーク浜坂の郷(さと)」が開業した。野菜や海産物、但馬ビーフを目当てに、遠方から多くの客が訪れる。

 「浜坂道路ができたおかげですわ」。道の駅に野菜を出荷する地元農家、本多誠さん(57)は、にぎわいに目を細める。

 浜坂道路は、香美町と新温泉町をつなぐ約10キロ。道の駅開業の2カ月後に開通した。京都、兵庫、鳥取を結ぶ山陰近畿自動車道(120キロ)の一部だ。

 “高速道路の空白地帯”と言われた但馬。「取り残されている」。本多さんの胸には長年、そんな思いがくすぶり続けてきた。山陰近畿道はまだ約半分が事業化されていない。北近畿豊岡道も、但馬北部には届いていない。「全線が開通するのはいつの日か」

 県誕生から150年の歳月をかけてもつなぎきれない。兵庫はまことに広い。

(段 貴則、坂山真里緒、金 慶順)

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