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阪神・淡路大震災で被災し、更地になったままの宅地が今年一月現在、神戸市内で阪神甲子園球場の二十一個分に相当する約八十五万平方メートルに上ることが、三十一日までに同市の調べで分かった。過去一年間の減少のペースは約3%で、前年の約11%に比べ鈍化し、住宅再建の“頭打ち状態”がさらに顕著になった。
通常、宅地は空き地にしておくと、二百平方メートル以下の場合で固定資産税が六倍、都市計画税が三倍になる。しかし、被災宅地については転売しない限り、特例で住宅が建っているのと同じ扱いとなる。特例は三度目の延長で二〇〇七年度まで継続される。
対象となる更地(毎年一月現在)は、震災翌年の九六年に約六万千三百筆あったが、九七年には約四万三百筆に。しかし、〇一年に約九千百筆となってからは毎年、数百筆の減少にとどまる。
今年は約六千四百筆、八十五万平方メートル。うち長田区が二十五万三千平方メートルで、兵庫区が十六万四千平方メートルと両区の面積で全体の半数近くを占め、市西部での復興の遅れが際立つ。特例で軽減される税額は、市全体で約六億千五百万円に上る。
背景には、所有者の経済的な事情や高齢化、細い街路に面し住宅を建てられないなどの物理的な理由があるとみられる。区画整理事業地区では復興基金による住宅ローンの利子補給制度もあるが、更地の大幅な解消には至っていない。(石崎勝伸)
2006/6/1