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第六十一回国民体育大会「のじぎく兵庫国体」の開会式が三十日、天皇、皇后両陛下をお迎えし、神戸市須磨区のユニバー記念競技場で行われる。兵庫県での開催は一九五六年の第十一回大会以来、五十年ぶり。阪神・淡路大震災時の支援に感謝するため、「“ありがとう”心から・ひょうごから」をスローガンに掲げ、兵庫県内で二万人以上のボランティアが大会運営を支える。
簡素化や経費削減などを目的に、夏季、秋季大会が一本化される初めての大会。開会式には四十七都道府県選手団や式典出演者、観客ら四万人以上が参加する。午前九時に開門、同十時半から県内の伝統舞踊や集団演技などが披露され、午後一時五十分ごろから選手団の入場行進が始まる。
天皇陛下のお言葉などの後、全選手を代表して陸上女子千五百メートルの日本記録保持者、小林祐梨子選手(17)=須磨学園高三年=が宣誓する。
会期は十月十日までの十一日間で、正式三十七、公開二の計三十九競技を実施する。三十日には全競技のトップを切って、高校野球硬式(公開競技)が高砂市野球場でスタート。夏の甲子園を沸かせた斎藤佑樹選手(早実高)や田中将大選手(駒大苫小牧高)、卓球の福原愛選手(青森山田高)ら人気選手も多数出場し、両競技では入場整理券が配布される。兵庫県警などは開会式も含めて厳戒態勢を敷き、事故防止に努める。
都道府県対抗で争う天皇杯(男女総合優勝)、皇后杯(女子総合優勝)を獲得していないのは兵庫を含めわずか六県。兵庫県選手団は選手、役員、監督を合わせ、史上最多の千五十七人で構成され、悲願達成を目指す。
▼天皇陛下のおことば(要旨)
第一回国民体育大会は、京都市を中心に開催され、兵庫県もその一翼を担い、宝塚市と西宮市で競技が行われました。国民の生活が極めて厳しかった時であり、運営に携わった人々や選手は非常に大きな苦労があったことと思います。
六千四百余人の命が失われた阪神・淡路大震災の被災地が緑のある街としてよみがえり、全国の人々へ感謝の気持ちを込めて開催されることは、極めて意義深いことと思います。選手と兵庫県民にとり心に残る、実り多い大会となることを願い、開会の言葉とします。
▼大会会長あいさつ 要旨 伊吹文明・文部科学大臣
天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、日本海と瀬戸内海に面した多彩な風土と生活文化を持つ兵庫県において、のじぎく兵庫国体が盛大に開催されますことを、心からお喜び申し上げます。
国民体育大会は、わが国最大のスポーツの祭典として、広く国民の間に親しまれるとともに、スポーツの振興・発展に極めて重要な役割を果たしてまいりました。
郷土の代表として参加される選手の皆さん、わが国のスポーツ発展のためにますます活躍されることを期待します。
▼大臣あいさつ 要旨 森喜朗・日本体育協会会長
昭和三十一年に開催された第十一回大会以来、兵庫県では五十年ぶりの開催となります。また、これまでの夏季、秋季大会を一本化し、簡素・効率化を図るとともに、将来のトップアスリートの育成を念頭においた改革が具現化された、新たな国体への出発点となる大会でもあります。
栄えある郷土の代表として参加された選手の皆さん! 悔いのない競技をされますとともに人情味豊かな兵庫の皆さんとも交流の輪を広げられ、実り多い大会となりますよう切望いたします。
▼開会宣言 要旨 井戸敏三・兵庫県知事
素晴らしい秋空のもと、全国各地から選手、役員のみなさんを、ここ兵庫にお迎えしました。
兵庫は五つの国からなります。摂津、丹波、但馬、播磨、淡路。それぞれ特性を持ち、古来より進取の気性に富んだ県民が、新しい課題に果敢に挑戦してきました。あの阪神・淡路大震災から十一年が経過し、さらに飛躍を目指しています。
五百六十万県民とともに、みんなで盛り上げていく総参加の国体、新しい国体として、「のじぎく兵庫国体」の開会を宣言します。
▼歓迎のことば 要旨 矢田立郎・神戸市長
全国からお越しいただいた選手、監督、役員の皆さまを、兵庫県二十九市十二町を代表して歓迎申し上げます。すべての市や町が創意と工夫を凝らしておもてなしの準備を進めてきました。
阪神・淡路大震災の際には、全国から温かい励ましや多くのご支援を賜り、この場をお借りし、心より感謝とお礼を申し上げます。
元気になった神戸のまちと市民に接するとともに、多様性に富んだ兵庫県の自然や文化にも触れていただきたいと、心から念願しています。
2006/10/1