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阪神・淡路大震災で被災した神戸市民のうち、今年一月現在で心的外傷後ストレス障害(PTSD)の危険性が高い人が約15%に上ることが十八日、兵庫県こころのケアセンター(同市中央区)の後藤豊実研究員らの調査で分かった。被災者の精神状態について、災害から長期間を経た大規模調査は国内ではほとんど例がない。後藤研究員は「震災から十一年を経ても、被災者には医療や福祉などの介入が必要なことを示している」と話している。
調査は、二十-七十歳の神戸市民を住民基本台帳から無作為抽出。今年一月、無記名式の調査用紙を郵送し、八百二十一人から回答を得た。十八日、同市中央区の県公館で開かれた「『こころのケア』シンポジウム」(ひょうご震災記念21世紀研究機構主催)で、中間報告として結果を公表した。
それによると、六百七十二人が震災を経験。うち約20%は家族や友人を亡くしていた。震災による精神面への影響について、「別のことをしていても、(震災が)頭から離れない」「(震災を)思い出させるものには近寄らない」など二十二項目を質問し、回答を五段階評価したところ、約15%の人がPTSDで現れる症状が強い、との結果が出た。
しかし、実際に調査前の一年以内に精神科など専門機関に通った人は4%未満。約10%の人はPTSDの症状が強かったことに加え、震災前に比べて生活状況の悪化を訴えた。(石崎勝伸)
2006/10/19