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一九九九年の台湾中部大地震の被災地、南投県桃米で十九日、神戸から移設される紙の建築物「ペーパードームたかとり」の起工式が開かれる。阪神・淡路大震災の被災者と交流してきた現地の市民グループが、まちおこしの拠点として活用する。式典には神戸からも市民有志が出席する。(宮沢之祐)
ペーパードームは、直径三十三センチ、高さ五メートルの厚紙の柱五十八本がテント製の屋根を支える。阪神・淡路大震災で焼失した神戸市長田区のカトリックたかとり教会に建てられ、野田北部地区の住民集会やイベント会場に使われてきた。教会の再建に伴い、昨年六月に解体された。
廃棄される可能性もあったが、台湾から野田北部を訪れた交流団のメンバーが受け入れを表明。神戸側が募金などで移送費を調達した。同教会の神田裕神父(48)は「震災後のまちづくりを見守ったペーパードームが、市民交流のおかげで残してもらえることになり、ありがたい」。台湾の被災地を再訪し、起工式に出席する野田北ふるさとネットの河合節二さん(45)も「移設で台湾とのご縁が深まった」と喜ぶ。
南投県の被災地の多くが山間部の農村で、観光による復興を重視。ペーパードームも隣に建つ施設とともに、都市と農村の交流拠点を目指すという。震災八年となる来年九月にオープン予定。
2006/11/14