記事特集
あす十七日、阪神・淡路大震災は発生から丸十二年を迎える。二〇〇五年度の被災十二市の域内総生産が震災前の水準に回復していないことが十五日、分かった。戦後最長となる景気拡大の影響で全国の経済活動が活発化する一方、神戸や尼崎など被災地の回復の足取りが重く県全体の指標にも影響。兵庫県全体では〇五年度に震災前の水準を超えたが、全国との伸び率の差は年々拡大し、17ポイントと震災以来最大となった。(小山 優)
兵庫県のまとめによると、〇五年度の県内総生産(実質)は二十・七兆円。一九九三年度を100とした数値で、全国は118・8に上るが、県内は微増の101・8にとどまっている。県は好調な企業立地の促進などで全国との差を埋める方針。
被災十二市では99・5と、震災前の水準に届かない。市町別では、芦屋の142・3を最高に、川西、三木、明石、西宮、伊丹、宝塚の七市で震災前を上回った。一方、尼崎83・5、洲本83・8と、製造品出荷額の激減と人口流出が重なった地域は落ち込みが激しい。県内で最も額が大きい神戸も99・2にとどまっている。南あわじ、淡路と合わせ計五市で震災前の水準に達していない。
被災十二市の推計人口は〇六年十二月一日現在、震災直前と比べて1・7%増加。震災直後に十万人近い住民が流出した神戸市も今年一月一日現在で0・6%増加した。
土地区画整理は自治体などが施行の十八地区のうち十三地区で完了。市街地再開発では、六地区のうち五地区が事業を終え、残るのは神戸市長田区の新長田駅南地区だけとなった。
県営復興住宅の高齢化率は45・5%で、一般の県営住宅の二・三倍にあたる。一人暮らしの高齢者の割合も40・6%に高まっている。
県は「高齢者の自立支援」と「まちのにぎわい推進」を柱とする計百の事業で復興の推進を図る。
メモ
【県内総生産】
県内の経済活動により、製品やサービスなどで生み出される付加価値の合計。経済活動の規模や産業構造、所得水準をつかむ指標の一つ。国内全体の国内総生産(GDP)に対し、県内の数字は県内GDPとも呼ばれる。