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(4)人と自然の共存願い  日本画家 熱田守さん(53)
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ため池の生き物を描き、命への慈しみを伝える=兵庫県稲美町岡
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ため池の生き物を描き、命への慈しみを伝える=兵庫県稲美町岡

ため池の生き物を描き、命への慈しみを伝える=兵庫県稲美町岡

ため池の生き物を描き、命への慈しみを伝える=兵庫県稲美町岡

 「自分に何ができるのだろうか」-。明石市のマンションで大震災に遭った。散乱した家具や食器を片付け、神戸市長田区の親類に水や食料を届けた後、ふと自らに問いかけた。

 あまりにも被害が大きい。知り合いみんなを手助けすることはできず、「私には制作しかない」と痛感した。

 まず地震の記憶を残そうと試みた。壊れたキャンバスの木枠を額縁にし、わざと引き裂いたキャンバスを糸で縫い合わせた。自然への畏怖と、引き裂かれた町を元に戻したいという願いを表現した。

 人は自然を支配しようと文明は築いてきたが、その巨大なエネルギーにかなわなかった。震災で失った命と、文明の進歩。人と自然の関係を思索し、「うまく共存していける世界になればいいのに」と願った。

 震災翌年の1996年春、自然豊かな兵庫県稲美町に移り住んだ。「都市に流れる時間」をテーマにしていた作風をがらりと変え、ヘビやカメなど出合った生き物をモチーフにし始めた。

 「すべての命は尊く、美しい」。絵を見てそう感じてくれた人から、何かが広がってくれればいい。そんな思いで絵筆を走らせる。

(吉田敦史)

2011/1/8
 

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