連載・特集 連載・特集 プレミアムボックス

  • 印刷
東日本大震災の復興支援に関わる田村太郎(右端)。講師を務める大学の学生らと被災地を訪ねることもある=神戸市東灘区、甲南女子大学(撮影・辰巳直之)
拡大

東日本大震災の復興支援に関わる田村太郎(右端)。講師を務める大学の学生らと被災地を訪ねることもある=神戸市東灘区、甲南女子大学(撮影・辰巳直之)

東日本大震災の復興支援に関わる田村太郎(右端)。講師を務める大学の学生らと被災地を訪ねることもある=神戸市東灘区、甲南女子大学(撮影・辰巳直之)

東日本大震災の復興支援に関わる田村太郎(右端)。講師を務める大学の学生らと被災地を訪ねることもある=神戸市東灘区、甲南女子大学(撮影・辰巳直之)

 東日本大震災から3年を前にした3月初旬。復興庁と民間企業の連携による被災地支援をテーマに、大阪市内でシンポジウムが開かれた。

 司会を務めたのは、一般財団法人「ダイバーシティ研究所」(大阪市)の代表理事、田村太郎(42)。伊丹市出身で、阪神・淡路大震災後は外国人の支援に奔走した。以来、国籍や性別などにとらわれず、ダイバーシティ(多様性)を生かすまちづくりなどに取り組み、大学の講師も務める。

 2年前、復興庁の上席政策調査官(非常勤)の肩書が加わった。同庁は「民間連携」を進める人材を求めていた。

 「国や自治体の力は職員の減少や合併で縮小している。復興に限らず、市民の力が必要な時代」と田村。全国の地方公務員数は阪神・淡路大震災当時と比べ、16%以上減っている。シンポでは、被災市町に社員を長期派遣している企業の取り組みなどが報告された。

     ■

 1年間で延べ137万人が活動し、「ボランティア元年」といわれた阪神・淡路大震災。3年後の1998年には特定非営利活動促進法(NPO法)が成立した。現在、NPO法人は全国に約4万9千あり、兵庫県でも2千を超える。

 昨年改正された災害対策基本法は、国や自治体に「ボランティアとの連携」を求めた。「民の力」の必要性は法律に規定されるまでになった。

 阪神・淡路を原点に、「市民社会」の構築を担ってきた人々は今、全国各地で活躍する。

 19年前、個人ボランティアとして神戸に入った白鳥孝太(41)は、公益社団法人「シャンティ国際ボランティア会」(東京)の気仙沼事務所(宮城県)責任者として、地域の復興支援に関わる。

 神戸では、ボランティア団体の調整役を果たした「地元NGO救援連絡会議」のスタッフを務め、そこで田村にも出会った。同会議の代表で、2000年に亡くなった草地賢一=当時(58)=の口癖を今も心に刻む。

 「言われてもしない。言われなくてもする」

 ボランティアは、役所や組織に言われたことをするのではない。自ら考えて行動せよ、との教えだった。

 「被災地の人々の話を聞き、相談しながら必要な活動を見いだす。悩んでなんぼ。その基本は今も変わらない」

     ■

 白鳥のいう「基本」は普段のまちづくりにも通じる。地域の課題をどう解決していくのか。答えは、住民自らが悩まなければ見いだせない。

 国内外の被災地支援を続ける「被災地NGO恊働センター」(神戸市兵庫区)代表、村井雅清(63)は「多数決やマニュアルで決めれば、隙間に埋もれる人がいる。議論を重ねることで、その隙間に気付く。それこそが大事な視点」と話す。

 平等原則に立つ「官」は、多様化する地域課題に対応しきれない。ボランティアの現場から生み出された「市民社会」のありようは、この国の進むべき道を照らし出す。

=敬称略=

(磯辺康子)

2014/5/22
 

天気(9月6日)

  • 33℃
  • 25℃
  • 10%

  • 34℃
  • 22℃
  • 10%

  • 35℃
  • 25℃
  • 10%

  • 36℃
  • 23℃
  • 10%

お知らせ