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宝塚・川面地区で「防災スイッチ」づくりの研修会に参加した自主防災会のメンバーら=宝塚市御殿山2
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宝塚・川面地区で「防災スイッチ」づくりの研修会に参加した自主防災会のメンバーら=宝塚市御殿山2

宝塚・川面地区で「防災スイッチ」づくりの研修会に参加した自主防災会のメンバーら=宝塚市御殿山2

宝塚・川面地区で「防災スイッチ」づくりの研修会に参加した自主防災会のメンバーら=宝塚市御殿山2

 行動こそ全てだ。ある基準に達したら、行動のスイッチを自動的にオンにする。そんな仕組みを「防災スイッチ」と名付け、避難に取り入れる地域がある。

 昨年11月下旬、宝塚市の中心部にほど近い川面地区の会館に、自主防災会のメンバー約40人が集まった。

 「資機材を確認」「高齢者への声掛け開始」

 模造紙にメモを貼り付けていく。災害発生前から避難後まで時系列で区切り、各自の役割を明確にする。

 「情報を実際の行動に結び付ける仕組みこそが大事」。防災スイッチを推進する京都大防災研究所の矢守克也教授は強調する。緊急速報メールをはじめ、避難情報を得る手段は以前より格段に充実した。気象情報の精度も上がった。だが、それだけでは足りない。

 例えば、川やため池の水位、側溝の状況、土砂の含水量、さらには気象予報。それらがどんな状況になれば、防災活動や避難を始めるのか。事前にタイミングを明確にし、基準に達すればみんなでスイッチを「オン」にする。この準備さえしていれば、対応が後手に回ることも、逃げ遅れることも防げる、というわけだ。

 阪神・淡路大震災で110人以上が亡くなった宝塚市。被害の大きかった同地区は市内で初めて自主防災会を結成した。しかし、10年もすると下火に。5年ほど前に再開させた喜多毅会長代行(74)らは、住民が主体的に取り組める活動を模索してきた。

 そんな中から、防災スイッチの試みを昨年2月に始動させた。昨夏相次いだ風水害も踏まえ、避難開始のスイッチを「下ノ池があと50センチであふれる」「荒神川の水位が3分の2を超え、雨が当面継続する」などと具体的に定めた。成功の鍵は、周知と実効性の向上。今年は訓練も計画する。

     ◇

 逃げることを諦める「避難放棄」が目立ってきた。高齢化が進む地域ほど、その傾向は強い。兵庫県上郡町の赤松地区では「避難したくなる条件」を探る取り組みが始まっている。

 武者行列でにぎわう、同地区恒例の白旗城(しらはたじょう)まつり。昨年11月下旬、例年にはないバスが到着した。降りてくるのは高齢者たち。

 移動手段があれば-。外出を控えがちな高齢者に避難を促す答えを探していたひょうご震災記念21世紀研究機構の研究チームがバスを手配した。

 足が弱く、手押し車が必要な藤本英子さん(83)が祭り会場を訪れたのは数年ぶりだった。参加理由は「バスがあったから」。研究チームの狙い通りだ。災害時には「自宅にいる。避難所は遠いから」という。移動の補助が避難への意識を変える可能性を秘める。

 ただ「車いすで人前に出たくない」との声もあった。同機構の石塚裕子主任研究員は「誰でも分け隔てなく受け入れる地域の雰囲気を育むことが、減災にもつながる」と話す。

 イベントには来てもらえた。「次は避難所だ」。赤松地区連合自治会の古正好晴会長(72)は、仕組みづくりに思案を巡らせている。(田中陽一、金 旻革)

2019/1/16
 

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