
明治時代の亀井堂総本店。撮影時期は不明(亀井堂総本店提供)
瓦せんべいで知られる亀井堂総本店は神戸・元町6丁目に店を構える。「およそ140年前の創業時からずっとこの場所です。当時、店の前の元町通りは西国街道と呼ばれていました」と4代目社長の松井佐一郎(64)。神戸港開港5年後の1873(明治6)年、佐一郎の曽祖父、松井佐助(さすけ)が2畳ほどのささやかな店を開いた。看板商品はカステラやワッフルを参考に考案したせんべい。これが鈴木商店の創業期を支えることになる。
古い瓦の収集が趣味の佐助は、瓦形のせんべいに楠木正成(まさしげ)の姿を焼き付けた。洋風の味覚は評判を呼び、「ぜいたくせんべい」と呼ばれる神戸名物に。まねる店が乱立した。瓦せんべいの主原料は小麦粉、砂糖、卵。砂糖問屋としてスタートした鈴木から大量の砂糖を仕入れていたようだ。ある目撃談が伝わっている。
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