正平調

時計2020/01/13

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正月ぐらい顔を見せなさい。家族にそう言われて、年末年始に帰省した若い人もいることだろう。いまの時代、ネットのテレビ電話で顔を合わせることもできるが、やはり直接見ることには代えがたい◆哲学者の鷲田清一さんは、25年前の阪神・淡路大震災で活動したボランティアについて、だれかの前に〈顔〉を差しだすという行為だったと述べている。それが人を支えたと◆ボランティアは「人がともに存在することで人の苦しみを分かち合おうとする行為」。神戸出身の歴史学者、寺田匡宏(まさひろ)さんは災害を考察した大著「カタストロフと時間」で、鷲田さんの言葉も示しつつそう書いた◆阪神・淡路では、200万人以上のボランティアが被災地に集まったとされる。だが残念ながら、東日本大震災でも他の災害でもそれを超える活動は見られない◆救援活動を支える仕組みの問題など、被災地に行く人が減った理由はさまざまに語られる。寺田さんは、ボランティアの生き生きとしたエネルギーが失われてしまったと考える◆「人を助けることができるのは人だけである」。助けるという行為は人に寄り添うことと、寺田さんは言う。〈顔〉の見える場所に行きたい。何かのとき、そうした熱意を抱く人は減っていないと信じたい。2020・1・13

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