正平調

時計2020/02/14

  • 印刷

昨年、兵庫県内の交通事故死者は、統計が残る中で最少の138人だった。過去最多は1969年の740人。交通戦争という言葉があった時代だ◆当時、神戸で起きた数多い事故の一つなのに、それは本紙の社会面トップを飾った。車に乗っていたのはフランスの哲学者サルトルとパートナーのボーボワール。見出しは「“交通戦争”を実存的体験」である◆サルトルは66年、東京や京都で講演した。事故に遭ったのは大阪から乗ったタクシーで、幸い2人にけがはなかった。紙面での扱いから来日が大きな話題だったことが分かる◆記事の見出しにあるように、サルトルは実存主義者として知られる。「実存は本質に先立つ」。人間について述べた有名な命題について、彼はペーパーナイフの例で説明する◆ペーパーナイフは、それがどんなものかという概念をもとに職人が作る。存在する前に本質がある。だが人間は何らかの定義をされる以前に、まず存在する。個々人が自らの人間像を選ぶ◆サルトルが熱く支持されたのは大戦直後。その頃フランスには自由とともに不安な気分があったと、仏文学者の海老坂(えびさか)武さんは書いている。それは何か今の時代に重なるようでもある。今年は没後40年。実存哲学再読の好機かもしれない。2020・2・14

正平調の最新
もっと見る

天気(5月31日)

  • 22℃
  • ---℃
  • 70%

  • 22℃
  • ---℃
  • 60%

  • 23℃
  • ---℃
  • 60%

  • 23℃
  • ---℃
  • 70%

お知らせ