正平調

時計2020/03/01

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日本画家、東山魁夷さんが言った。「古い建物のない町は思い出のない人間と一緒だ」。古い建物は町にとって欠かせない思い出。だから、とその人の話は次第に熱っぽくなっていく◆ヨーロッパの建築家は「保存することは創造すること」という視点がある。でも日本は経済効率や機能優先で古い建物を壊してしまいがち。建築家も「古いものの保存、再生にもっと関心を持ってほしい」と◆ある講演でのひとこまだ。話しているのは坂本勝比古(かつひこ)さんである。建築の専門家として神戸市に勤めながら消えゆく異人館の保存に尽くし、「異人館博士」と呼ばれた。長い歩みを止め、先ごろ93歳で亡くなった◆銀行マンだった父の仕事で、中国の青島に生まれ、上海にもしばらく住んだ。住まいはいずれも異人館だった。その窓から空を見上げて空想にふけっていたと、ずいぶん前の朝日ジャーナル誌上で語っている◆年に1、2度、父母に連れられ日本に戻った。船の乗り降りで通ったのが神戸である。山麓にある異人館群を見て坂本少年は、建物の「肌触り」に気分が和らいだそうだ◆少年の心をとりこにし、いつしか仕事として心を奪われ。青島と神戸をつなぐ糸があるかのような人生である。異人館を舞台にした物語。味わい深い。2020・3・1

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