正平調

時計2020/03/14

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九州に「夜明(よあけ)」という鉄道駅があることを前に書いた。福島県には「夜(よ)ノ森(もり)」という名の駅がある。訪れたことはないが、作家の伊集院静さんのエッセーでJR常磐線のその駅を知った◆「次の駅は“夜ノ森”と案内が見えた。初めて聞く駅の名前である。どんな所なのだろう?」とあるから伊集院さんも心ひかれたのだろう。東北への列車の旅の思い出を記したのは原発事故より前のことである◆常磐線がきょう、9年ぶりに全線での運転を再開する。最後まで不通区間になっていた夜ノ森など3駅周辺の避難指示も解かれ、利用できるようになった。とはいっても住民が帰還することはまだ認められない◆鉄路の復興は福島のあしたを照らす明るいニュースには違いないが、それをまぶしく感じる人ほど復興格差の影もまた濃く見えるのだろう。「駅周辺はきれいになったが、ほかは荒れ放題」。そんな声が漏れる◆〈ふるさとは遠きにありて〉と思えることの幸せに気づく。故郷を奪われた人にとって、逃れた土地で生きていくことを泣く泣く決心した人にとっての望郷とは甘い詩情を交えて語れるものでは決してあるまい◆拍手のなかをきょうの一番列車は走るだろう。ふるさとを思うすべての人に春を運んでほしいと切に願う。2020・3・14

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