正平調

時計2020/04/08

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ある春の日、町で多くのネズミが死んだ。恐るべき疫病の襲来である。仏作家カミュが小説「ペスト」を発表したのは1947年。過去に教訓を求めてか、いま再びのブームだという◆アルジェリアの港町で、謎の熱病が発生する。たいしたことはないだろう。長続きはしないだろう。根拠なき楽観で対応が後手に回るところは昔から変わらないらしい。患者は爆発的に増えて、町は封鎖された◆気のめいる物語のなかにも希望はちりばめられている。主人公の医師やその友人のせりふがそう。恐怖と向き合うことはそれを「理解すること」であるし、ペストと闘う唯一の方法は「誠実さ」だと彼らは言う◆そして、災禍ですさんだ心に平安をもたらす道があるとすれば他者に「共感」することだろう、とも。改めていまに通じる心構えとしたい。政府がきのう、兵庫や大阪を含む7都府県での緊急事態宣言を出した◆新型コロナウイルスの怖さを正しく知る。感染を広げぬよう良心に従って行動する。隣人の不安にも目を向ける。理解、誠実、共感-どれも易しいようで難しい。大げさにいうなら、文明人の力が試されている◆政治にはなおさらの目配りが求められよう。この長い辛抱の先行きに不安ばかりをまん延させてはならない。2020・4・8

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