正平調

時計2020/07/09

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目を閉じて想像してみる。翼を広げれば、2メートルほどもある。堂々と空をかけ、餌を見つけると一気に急降下する◆信州に生まれ、信州に住む作家丸山健二さんもエッセーで書いていた。幼いころに1度だけ、空を舞う姿を見たことがある。はるかかなたなのに並の大きさでないことが「ひと目で分かった」と◆ニホンイヌワシである。強さといい、気高さといい、空に君臨する王と呼ぶにふさわしい。餌の小動物が減って絶滅しかねないそのひなが、但馬・氷ノ山周辺で見つかった。兵庫県での繁殖確認は16年ぶりという◆気づいたのは姫路市の三谷康則さんだ。ずっと観察する専門家で、本紙の連載「ひょうごの野鳥」でも何度か登場願ったので、ご存じの方がおられるだろう。撮った写真、アオダイショウを頑丈な爪でつかんだ姿を紙面で見た。野性のすごみが伝わる◆「ほんの1秒見られただけで感動する憧れの鳥」と三谷さんは言う。1、2分しか見ていないという丸山さんも、不思議な感情が胸に満ちてきて、不意に涙を流してしまったそうだ。王は心までわしづかみにする◆県内にはわずか9羽しかいない。うちつがいは2ペア。たくましく育てよ。そしていつか、縄張りをちょっと離れ、1秒でいいから頭上を舞ってくれ。2020・7・9

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