正平調

時計2020/11/17

  • 印刷

「勧進帳」で西の坂田藤十郎さんが義経を、東の市川團十郎さんが弁慶を演じた。歌舞伎の大名跡2人による「史上初共演」が話題となったのは2007年、大阪松竹座の舞台である◆藤十郎さんにすれば「よくぞここまで」の感慨ひとしおだったろう。元禄(げんろく)の世から脈々と継がれた「團十郎」は当時十二代目。かたや「藤十郎」は231年も絶えていたのを自らが四代目になり復活させている◆襲名にあたって「江戸と上方の芸脈がともに栄えてこそ」と語っていた。その覚悟と重圧はいかばかりであったか。和事(わごと)といわれる優美な写実芸で、上方歌舞伎の復興に尽くした藤十郎さんが88歳で亡くなった◆和事の始祖、初代藤十郎は言ったという。「身ぶりはこころの余りにして、よろこびいかるときはおのづから心身にあらはるる」。演技はつくるものではない。人物になりきれば、おのずと表現できるものだと◆当代藤十郎さんがまさにそう。はんなりと艶があり、しかも軽やかな芸にひと目でほれたファンは多かろう。年齢を感じさせぬ演技、というのではない。若い遊女の役であれば、その魂が乗り移ったかのような◆「芸のために生まれた人」(妻の扇千景さん)。藤十郎さんを語って、これにまさる言葉はあるまいと思う。2020・11・17

正平調の最新
もっと見る

天気(1月20日)

  • 7℃
  • ---℃
  • 10%

  • 7℃
  • ---℃
  • 10%

  • 8℃
  • ---℃
  • 10%

  • 8℃
  • ---℃
  • 0%

お知らせ