正平調

時計2021/03/12

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「風の電話」という映画のなかで、西田敏行さんが歌っていた。ハアー はるかかなたは 相馬の空かヨー ナンダーコーラヨット…。福島県は相馬地方の民謡「新相馬節」である◆原発事故の後、住民の多くは離れたまま戻ってこない。西田さんはその町に暮らす男性を演じて、ほろ酔い加減につぶやく。「田んぼとか、畑とかよ…きらっきらっとしたあの景色、また戻ってこねえかなあ」◆「はるかかなたは」-と、福島を離れている人たちがいま口ずさんだとして、目に浮かべるのはどんな景色だろう。古里に戻ってきた住民が心に願うのはどんな暮らしだろう。原発災害は発生から10年がたった◆地震後の体調悪化や自殺によって失われた命、いわゆる「震災関連死」は福島県だけで2300人を超えたという。宮城県の2・5倍、岩手県の4・9倍に上る。かくも過酷な数字に悔しい気持ちがこみ上げる◆〈食卓に 気付けばいつも ふくしま産〉。“食の福島支援”だろう。作者は東京の小学5年生と、詩人の和合亮一さんが本紙で紹介していた。お父さんの句もある。〈手塩かけ 育てただろう ふくしま産〉◆心を寄せて、産物をいただく。食卓を囲むまなざしの向こうに「きらっきらっとした」田畑を思い浮かべる。2021・3・12

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