正平調

時計2021/04/05

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「なぜ遅刻してはいけないのか」。きっかけはある生徒の質問だった。「バイト先に遅れたら他の人が困るのは分かる。学校は決まりだからと言うだけじゃないか」と◆県立須磨友が丘高校で哲学の授業が始まり、今年で20年目になる。英語科枠での対話から出発し、「臨床哲学」と銘打った全国でも珍しい講座となって今に続く◆担任の藤本啓子さんは、自らを決して「先生」とは呼ばせない。生徒も自分も共に対話をする仲間。正解は持たず、彼らの「なぜ」にじっくり向き合う◆各地の地道な取り組みを集め、「哲学対話と教育」(大阪大学出版会)という本ができた。神戸大学付属中等教育学校の中川雅道教諭は生徒らの話す姿を「耳に向かって祈るよう」と言い表し、福島県で対話を続ける辻明典さんは「原発事故がみんなを哲学者にした」と伝える◆哲学教育の伝統を持つ西欧に比べ、日本の学校現場で批判的思考力を養う機会は少ない。新学習指導要領に「深い学び」がうたわれる中、藤本さんは「教育課程に考える場を組み込むことが必要」と訴える◆なぜ、会社に遅刻してはいけないのか。テレワークや時差通勤の普及で「当たり前」は通用しなくなった。学校に限らず、正解なき対話が今ほど求められる時代はない。2021・4・5

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