正平調

時計2021/06/01

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そばにいた若いカップルが、マネキンの白いドレスに見とれて話し合っている。女性「花やんなあ」。男性「ユリ…かな」。そして双方、吐息まじりに「きれいなあ」「すごいなあ」◆兵庫県立美術館(神戸市中央区)の「コシノヒロコ展」(20日まで)を訪ねたときのことである。丈の短いそのドレスは布地を立体的に重ね、花弁が幾つも開いたような意匠になっており、確かにユリに見える◆20歳前後だろう。2人はひょっとしたら互いにデザイナーになることを夢見て目下猛勉強中なのかもしれない。マネキンの背後に回り込んだり、スマートフォンで写真を撮ったりしてはうなずき、うなっている◆あたりを見回せば、気合の入った服装で周囲の目を引く見学者もいる。世界のファッション界でさんぜんと輝くコシノヒロコさんの生き方や作品に触れて、何かを学びとってやろうというまなざしは熱く、鋭い◆“ユリ”を見たのは、コシノさんの厳選コレクションをまとったマネキン106体が並ぶ部屋だった。どの衣装も美しく「見て」「見て」とこちらに訴えてくるようで、不思議の森に迷い込んだ気にさせられる◆どうやらユリだけではないらしい。よく見て回ると、ほかの花や生物も隠れている。抜け出せない森である。2021・6・1

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