農家や学生らでつくる「南あわじ市市吊(つ)り玉祭実行委員会」(兵庫県南あわじ市)が、タマネギをテーマに制作していた絵本「みーちゃんとみっつのやくそく」が、完成した。女の子がタマネギを育てる中で、愛情の大切さを知る物語。中心になった実行委の井川翼会長(31)は、「子どもたちが農業に関心を持つきっかけになれば」と話す。(中村有沙)
「吊り玉」は、収穫したタマネギを十数個ずつひもで縛って小屋につるす伝統的な乾燥法。技術や文化を広めようと、結ぶ早さを競う「吊り玉祭」を2年前に初めて開催した。2回目の昨年は新型コロナウイルス禍で中止に。「今だからこそできることを」と、子どもたちが自宅で楽しめる絵本の制作を進めていた。
主人公はタマネギ嫌いの女の子、みーちゃん。ある日、農家のおじさんからタマネギの種をもらう。「心をこめて育てること」を約束し、毎日大切に育てていると大きなタマネギが出来上がる-。愛情を込めながら日々の作業にあたる農家の思いを反映させた。
色鉛筆でイラストを描き、温かみのある仕上がりに。井川さんは「野菜だけでなく、人と接する中でも重要な愛情の大切さを、この本を読んで感じてほしい」と話した。
完成した絵本は、島内3市へ約150冊を寄贈した。小学校や幼稚園などに贈られる。約3千部を、井川さんが勤める淡路島希望食品有限会社(南あわじ市、2525(にこにこ)ファーム)のオンラインショップで販売する。1650円。同社TEL0799・20・4301