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タマネギ高騰、消費者悲鳴「欠かせないのに買えない」淡路島産活況も、秋以降の品薄懸念

2022/06/16 19:30

 全国的にタマネギが高騰し、国内有数の産地の兵庫県の淡路島にも影響が及んでいる。スーパー店頭などで、島内外産を問わず例年の2倍近い値段となり、買い物客から「料理に欠かせないのに高くて買えない」とため息が漏れる。北海道産の不作などで国内市場に出回る数が減ったためで、島内農家には追い風となっている一方、秋以降の淡路島産の品薄を懸念する声もある。(西竹唯太朗)

 6月上旬、南あわじ市湊の商業施設「シーパ」で、地元産タマネギが「10キロ 3380円」で売られていた。シーパによると、例年のこの時期は2千円前後という。市内の主婦(64)は「ここまで高いとは」と驚いていた。

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 兵庫県総合農政課によると、都道府県別のタマネギ生産量は、北海道が最も多く、佐賀、兵庫と続く。

 北海道産は雪解け後の5月ごろから栽培して夏に収穫するが、昨年は天候不順の影響から記録的な不作だった。その影響で、冷蔵して今春に出回るタマネギの数が減った。さらに、中国で新型コロナウイルス対策としてロックダウン(都市封鎖)が行われ、輸入タマネギが減ったことも品薄に拍車をかけた。

 地元のあわじ島農協(南あわじ市市青木)によると、6月上旬時点で全国の市場平均単価は1キロ約200円。例年の120~130円台と比べて2倍近い。同農協の担当者は、「今までに見たことがない価格。4月のピーク時はキロ単価350~400円台で推移していた」と話す。

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 農家は収入増のチャンスとなっている。南あわじ市八木養宜上にある農畜水産物直売所「美菜恋来屋」の茱萸健太店長(33)は、「生産者が高めの値段を設定しても売れる。観光客が、どこで買っても高いなら淡路産を、と考えているのでは」と話す。

 こうした状況に、農協の関係者は、秋以降の淡路島産タマネギの流通減を懸念する。島内では例年、収穫期が終わる夏ごろから冷蔵保存し、秋から冬に出荷する。だが、近年まれに見る価格高騰を受け、夏までに多くの農家が生産量の大部分を出荷する可能性が高いという。

 淡路島産タマネギを看板メニューに使う島内のある飲食店は、契約農家から仕入れるため市場価格高騰の影響はほとんど受けていないものの、秋以降の冷蔵タマネギの減少を心配する。オーナーの男性(48)は「コロナ対策の緩和で観光客が戻っている。足りなくならないか」と話す。

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 ふるさと納税にも影響は及ぶ。返礼品としてタマネギを扱う南あわじ市は、寄付者に送る個数を一部で減らすなどしている。寄付額に対する調達費の比率が国基準を超えないようにするためで、同市ふるさと創生課の担当者は「やむをえない。寄付者が離れないようにしたい」とする。

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