衆院選2017
10月10日公示 10月22日投開票
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 14日午後、「政権選択」を懸けて火花を散らす2人の党首が、相次いで神戸入りした。

 神戸市東灘区のJR摂津本山駅前は、首相安倍晋三を一目見ようとする人で身動きも取れないほどに。与党で300議席超をうかがうと報じられた勢いを見せた。だが、並び立つ兵庫1区の自民前職盛山正仁(63)は「これはイベント。票になるか分からない」と表情を緩めなかった。

 前回2014年も優勢が伝えられながら、今回も争う希望前職井坂信彦(43)に競り負け比例で復活。12年は井坂と約2800票差の薄氷の勝利だった。

 ただ過去にないプラス材料もある。13日、同市灘区のホールの壇上で、衆院選と初のダブル選となった神戸市長選で再選を目指す久元喜造(63)と、盛山が固い握手を交わした。神戸港や神戸空港などの活性化で連携を強調する2人。灘高、東大の同級生で、盛山は元国土交通省、久元は元総務省の官僚出身コンビでもある。兵庫県知事井戸敏三も東大卒で旧自治省(現総務省)出身。盛山は3者の結束を「他の候補にないもの」と強みとしてアピールする。

 首相安倍の演説の3時間前、井坂の元にも希望の党代表小池百合子が駆け付けた。「排除」発言などで失速が伝えられる中でも三宮センター街前は人いきれに満ちたが、井坂は「これで勝つなら、そんな楽な話はない」と冷静だった。

 所属政党の分裂や解党に伴い、みんなの党、結いの党、維新の党、民進-と渡り歩く中でも、国会で活動量の多い議員としてNPOから度々表彰されるなど個人の看板で勝負してきた。希望が掲げる「消費増税の前に身を切る改革」「原発ゼロ」は初当選時からの訴えと一致する。だが、支援者の中に「希望は応援できない」とする声も目立ち、風向きの変化にさらされる。

 維新新人の梅村聡(42)も、井坂と同じ「消費増税の凍結」「身を切る改革」を主張する。東京、大阪では「すみ分け」た希望、維新両党の激突。無党派が多いとされる1区で自民を利するとの見方もある中、共産新人の力重(りきしげ)智之(39)は「自民も希望も維新も改憲勢力」と批判を強める。

    □  ■

 「地下鉄と阪急の相互乗り入れで梅田まで乗り換え不要になる。是非、実現させてほしい」

 13日朝、神戸市西区の市営地下鉄西神南駅前で訴えていたのは兵庫4区の自民前職、藤井比早之(ひさゆき)(46)。相互乗り入れは市長選の久元の公約でもある。藤井も東大卒の元総務官僚、久元はかつての上司だ。14日には西区で久元と合同決起集会も開いた。1区盛山と同様、官僚の絆は健在だが、誤算もある。

 10日、地盤の西脇市での出陣式。地元首長らを前に、藤井が「ご心配を掛け申し訳ない」「どうか助けてください」と土下座した。

 おわびの訳は、対立候補で、解散まで藤井の公設秘書だった希望新人、野口威光(たけみつ)(43)。小池の秘書を13年務めた野口を、小池が自民への“刺客”候補として送り込んだ格好だ。

 身内の造反によるイメージダウン以上に痛手なのが選挙を知る秘書の不在だ。日々の選対会議もままならず、「どう動いたらいいのか」と自民の地方議員らも戸惑う。周囲の反応も、同情ばかりではない。「国の補助金などで世話になったが、腹を割って話せない」など地元自治体や議会との不協和音もささやかれる。公示前には複数の首長が、民進出身で希望の公認から外れた無所属新人、佐藤泰樹(46)と面会した。

 渦巻く思惑をよそに共産新人の大椙(すぎ)鉄夫(69)は安保法制や消費税増税反対を掲げ、支持拡大を目指す。

 絆とあつれきがもつれ合う戦いの現場。舌戦は激しさを増す。=敬称略=

(衆院選取材班)

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