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 未成年という理由で選挙運動を禁止する公選法の規定は「表現の自由」に対する重大な制約であり、憲法21条に反する。提訴当時高校生だった原告4人が国に損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁が明快な判断を示した。国の立法不作為までは認めず、損害賠償請求は退けた。

 子どもが自らの関心や価値判断に基づいてスポーツや音楽活動などに取り組むのと同じように、選挙運動に参加するのを法令で禁止する実質的な根拠はない。選挙運動そのものは社会的に非難される活動ではなく、参加者の心身の健康を害するものとは言えない。未成年だからといって一切禁止されるのは精神的自由の制約が大きすぎる-。

 判決はこのように、民主主義社会を支える選挙の意義を丁寧に説き、選挙権がない未成年も主権者であり、政治に参加する権利と自由があることを改めて示した。若者たちはもちろん、主権者教育に携わる学校関係者、そして政治家たちにかみしめてほしい判決である。

 政府と国会は違憲判決を重く受け止め、禁止規定の見直しに向けた議論を進めるべきだ。

 禁止規定は1952年の公選法改正で導入された。未成年者の選挙運動と未成年者を使った選挙運動を禁じ、違反すると1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科される。

 国側は、制定時は未成年者が連呼や人海戦術に使われたり、判断能力が伴わず不当な選挙運動に巻き込まれたりし、公正な選挙の弊害となっていたと裁判で必要性を主張した。

 だが問題となった連呼などは既に公選法で制限されている。判決は、不当な運動を個別に規制することで公正さの確保や未成年者の保護は可能であり、選挙運動を一律に禁じる理由にはならないと断じた。妥当な結論である。

 国は2016年参院選から選挙権年齢を18歳以上に引き下げ、若者が主体的に政治に参画する主権者教育を推進してきた。しかし10年たっても若者の投票率向上には必ずしもつながっていない。

 罰則まで科して選挙運動から排除する規定が、若い世代を政治から遠ざける一因になっているのではないか。実際原告らは応援したい候補者の手伝いや交流サイト(SNS)への投稿などが法に抵触すると言われ、諦めた経験が提訴の動機だった。

 未成年と成年の生徒が混在する高校の現場からは、選挙や政治を扱う主権者教育の難しさを訴える声が上がる。被選挙権年齢の引き下げを訴える若者たちの別の裁判も続いている。未来を担う世代が参加しやすい選挙や政治のあり方を、若者とともに本気で考える必要がある。